佐藤　ちょっとだけニュアンスを変える、とか。僕らがM-1で優勝した年（2009年）、2本目にかけた「陶芸家の弟子」というネタは、実は、最初の1分から1分半ぐらいしか陶芸の話はしてないんですよ。でも、最初にその設定を印象付けておけば、ずっとその設定で見てくれる。「帰れ！」「帰りません！」みたいな応酬って、別に陶芸家の設定じゃなくてもいいんです。医者と患者とか、新聞の勧誘とか、ありがちな設定でもぜんぜんいい。でも設定が当たり前だと埋もれてしまうので、あえて陶芸家と弟子という、ちょっと斬新な役を当ててみたんです。

パンクブーブーのネタは「素人がやってもそこそこウケる」

――失礼を承知で言いますが、笑い飯のネタは絶対に無理ですけど、パンクブーブーのネタなら素人がやってもある程度、ウケるんじゃないかと思ってしまうんですよね。

佐藤　できますよ。うちのネタは一生懸命練習さえすれば、誰がやってもそこそこウケると思います。そういう風に作っているので。

哲夫　僕ら漫才師の目から見ても、パンクさんのネタは、やってみたいなと思いますもんね。漫才師も惚れる脚本。けっこうベタも大切にされてますし。僕はもともとそういうのが好きなんですよね。

©Shigeki Yamamoto

佐藤　そう、じつは笑い飯も、設定は奇抜だけど、ネタの運び方とか、ボケ自体はオーソドックスなんですよ。基本に忠実。ただ、そこに1つ新味を加えた。そこが大発明でしたね。

2010年M-1王者になった笑い飯の西田幸治（真ん中）と哲夫（右）。02年～10年まで9年連続M-1ファイナリストの大会記録を打ち立てた　©Sankei Shimbun

「笑い飯は感覚的なんだよな。うらやましい」

――もう1つというのは。

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