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「僕も含めて99%の人は才能がない…でも天才でなくてもM-1優勝できる」パンクブーブー&笑い飯…M-1王者が芸人志望者に教える“授業の中身”
posted2021/12/19 11:03
text by
中村計Kei Nakamura
photograph by
Shigeki Yamamoto
――お二人は今、NSC(吉本の芸人養成所)の講師をされているそうですが、NSCを経ていない哲夫さんは、芸人志望者にどのような授業をされているのでしょうか。
哲夫(笑い飯) 僕は最初の授業で必ず言うことがあるんです。吉本のNSC生募集のポスターがあって、そこには1期生のダウンタウンさんからずらりと歴代の偉大なNSC卒の先輩方が写っている。僕はどうがんばっても、ここには加われない。でも、あなた方には、そのチャンスがありますよ、と。僕は所詮、M-1の歴代チャンピオンの並びに入ってるだけの芸人人生なんです。すいません、こんな僕みたいな者が……という感じで授業に入ります。
――いろんな解釈のできるセリフですね。謙虚なようでもあり、自慢しているようでもあり、皮肉を言っているようでもあり。
佐藤哲夫(パンクブーブー) おもしろそう。その授業、聴いてみたいな。
――授業を受けるなら、佐藤先生の方がいいような……。
佐藤 僕の授業は、自分にはセンスがないと思っている人には役に立つと思いますよ。僕が必ず最初に言うのは、「ちょっとでも自分にセンスがあると思ってる人は、この授業を受けずに、それを信じて自分で一度、やってみた方がいい」と。大化けする可能性がありますから。そういう子が僕のやり方を参考にしてしまうと、かえって型にはまってしまって、こぢんまりとまとまってしまうかもしれない。
――笑い飯が生まれなくなってしまう、と。
佐藤 そう、生まれなくなってしまうんで。ただ、本当にセンスがある人間は、100人に1人いるかいないかぐらいだと思います。僕も含めて99パーセントの人は才能なんてないですよ。でも努力して、秀才まで行っちゃえば、天才以外にはバレない。仕事をする上では、何の問題もありません。周りのほとんどの人は天才ではないので。M-1で勝ったりすれば、「すごい、すごい」と褒めてくれるし、お金にもなります。
どうやったら「鳥人」に勝てるネタが作れるのか
――秀才まで到達すれば「鳥人」も作れますか。
佐藤 それ、授業でけっこう引き合いに出すんですよ。普通の人は、まず「鳥人」というチョイスができないし、できたとしてもボケが浮かばない。「鳥人」ってワードを使いこなすことができたら、そりゃ、他の人と絶対かぶることがないのでコンテストでは強いですよ。でも、あれは2人とも同じくらいのセンスを持ってる笑い飯だから、転がせるネタなんです。じゃあ、どうやったら「鳥人」に勝てるようなネタが作れるのか、という授業をするんです。
――どうやったら、作れるのですか?