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「なぜM-1決勝にオーソドックスな漫才は“残りにくい”?」9回出場で優勝の笑い飯と、初出場で優勝のパンクブーブーが語る“M-1王者になる方法”
posted2021/12/19 11:02
text by
中村計Kei Nakamura
photograph by
Shigeki Yamamoto
――笑い飯とパンクブーブーは、非常に対照的なコンビですよね。笑い飯は2002年から9年連続で決勝に進みながらも決勝ではなかなか勝てずに苦労をした。一方、パンクブーブーはなかなか決勝までたどり着けなかったけれども、2009年に初出場して、そのまま一気に頂点まで駆け上った。
哲夫(笑い飯) パンクブーブーがファイナリストになったとき、ブラマヨ(ブラックマヨネーズ)さんのパターンちゃうかって思ったんですよね。ブラマヨさんも力がありながらも決勝に出るまでは苦労して、2005年に初めて出たと思ったらパパパッと(その年)優勝しはった。僕は2002年か2003年ごろ、東京のライブで初めてパンクさんと一緒になって、めっちゃおもろいなと思って。そっからずっと、いつかは出てきはるんやろうなと思っていました。
佐藤哲夫(パンクブーブー) 準決勝の壁に阻まれ続けていたときは、いろいろ考え過ぎちゃったんでしょうね。M-1は特徴的なことをしなきゃいけない、とか。余計なこと考えずに、自分らがやってる中で、いちばんウケて、いちばん自信のあるネタをどんどんぶつけていけば、もっと早く決勝に行けてたと思うんですけど。
――パンクブーブーはM-1だけじゃなく、賞レースだった頃の「THE MANZAI」でも、「爆笑オンエアバトル」(NHK、1999~2010年)でも結果を出した唯一のコンビと言っていいと思うんですけど、佐藤さんの中では、賞レースの勝ち方みたいなものが確立しているのでしょうか。
佐藤 単純に結果だけを出すのなら、オーソドックスなスタイル、オーソドックスなネタの方がいいと思います。万人に受け入れられやすいので。ただ、そういうタイプはM-1の決勝には残りにくいんですよ。僕らの漫才は、いわゆる「漫才コント」で、スタイル自体はぜんぜん珍しくない。設定も、そこまで変わったものは扱い切れない。なので、めっちゃウケても際立った特徴がないので埋もれやすいんです。
「アンタッチャブルやサンドウィッチマンもそうでしたよね」
――2009年にその壁を初めて突破できたのは、オーソドックスからの脱却に成功したということだったのでしょうか。