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プロ野球亭日乗BACK NUMBER
《後継者問題》阿部慎之助が“1番手”ではない…巨人・原監督が明かした「次の監督」6人の候補と「1つだけ確実に言えること」とは?
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byNanae Suzuki
posted2021/12/14 11:04
新たに3年契約を結んだ原監督が、自らの「後継者」に関する思うところを率直に語った
「結果としては日本一、リーグ優勝を目指すというのはもちろんです。でも、いまお話ししたような伝統を受け継ぎ、伝えていく役割もそうだし、選手の育成もある。最初に話しましたがホップ、ステップのステップから始めようとするとジャンプも当然、成功はしません。そういう意味では来年はまずホップ、ステップして、そこからジャンプという形でチームをマネジメントしていくことが重要だと思っています。
3度目の監督に就任した2019年から1年目、2年目は戦力がそんなには揃っていない中で、少なくとも連覇したわけじゃないですか。日本シリーズではああいう惨敗を経験しましたけど、連覇したことで選手を含めてどこかに満足しているところがあったのかなと思うこともあります。勝つために近道はない。もう一度、肝に銘じなければならないのはホップ、ステップがあって初めてジャンプは成功するということです。3段跳びってそういうものじゃないですか」
自分の後継者を育成することを掲げた
――また1からチーム作りをやり直す?
「私がこれから3年、監督をやるならば、ここまでの3年間を一度壊して、また最初からホップ、ステップ、ジャンプするチームを作る。それで次の年もまたホップから始まってジャンプにつなげていく。仮にリーグ優勝して日本一になったとしても、また翌年はホップから始まって最後にジャンプできるチームを作ることが大事だと思います。そのためにはコーチ陣に役割をしっかり持たせた上で、組織をしっかり作るべきだと思う。その土台となるコーチ陣、スタッフを作ったつもりです」
――2019年に監督に復帰したときに、原監督は自分の使命としてまずチームを勝たせること、そして自分の後継者を育成することを掲げました。新たな3年契約を結んだ現在、監督の後継問題に進展はありますか?
「後継者は必ず出てくると思うし、出てこなくちゃいけないと思います。それが慎之助なのか、あるいは元木なのか、あるいは桑田なのか……それとも二岡なのか、駒田なのか、川相なのか……。それは色々あると思いますよ。決め込むというのは色々と難しい問題だと思います。1つだけ確実に言えることは、誰とも約束は何もないということです。だから次に巨人軍を指揮する監督は、選ばれるのではなく出てこないとダメなんです。
僕だって長嶋さんの下で3年コーチをやったわけですけど、コーチとしてスタッフに入ったときには『次の監督だから』なんて言われたことはなかった。誰もそんなことは言わない。まあ、王さんの場合は助監督として入ったから、そういうことはあったのかなと思います。助監督で入るケースはあるでしょう。でも、それこそ僕の場合はペナントレースがあと2試合か3試合になったときに、長嶋監督に呼ばれて『次の監督はキミだ』という話になるわけじゃないですか」
阿部慎之助が後継者の1番手ではないのか?
――でも、長嶋監督の最後の1年間は、シーズン中から采配を任され準備期間もあったと思います。そう考えると、今シーズン終盤には阿部二軍監督を一軍作戦コーチとして呼び、来シーズンは作戦兼ディフェンスチーフという役割を与えた。当然、周囲は後継者の1番手と見るのが自然ではないですか?