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《阪神JF》狙うべきは「早熟スピード馬」ではなく“伸びしろ”のある馬! 豪脚を見せたサークルオブライフ以外に当てはまるのは…?
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byPhotostud
posted2021/12/11 11:03
前走アルテミスSを完勝し、阪神JFでも注目が集まるサークルオブライフとM.デムーロ
武豊、幸四郎コンビで挑むウォーターナビレラ
「兄弟」ということで、デムーロ兄弟以上に注目されているのが、武幸四郎調教師が管理し、武豊が騎乗する、3戦3勝のウォーターナビレラ(父シルバーステート)だ。
札幌芝1500mの新馬戦、中山芝1600mのサフラン賞、そして阪神芝1400mのファンタジーステークスと、コースも距離も異なる舞台で、相手をねじ伏せるような強さを発揮してきた。この馬を購入した山岡良一オーナーは、サフラン賞の直前に他界したという。亡きオーナーの思いに応えるかのような走りを見せつづけている。
弟の幸四郎調教師にとっては厩舎の初GIが、兄の豊にとっては、1994年のヤマニンパラダイス以来となる同レース2勝目がかかる。
◎サークルオブライフ
○ナミュール
▲ウォーターナビレラ
サークルオブライフは、名門・千代田牧場が四半世紀以上かけて大切にしてきた牝系の馬だ。
もう1頭出走する同牧場生産のシークルーズ(父モーリス、栗東・杉山晴紀厩舎)は、さらに前から育まれてきた牝系の馬で、3代母チヨダマサコの仔には、1987年の天皇賞・秋を圧勝したニッポーテイオーなどがいる。牝系を遡ると、1907年にイギリスから輸入された「小岩井の牝系」の1頭であるビューチフルドリーマーに行き着く。
ナミュールの母サンブルエミューズは、先月のブリーダーズカップディスタフを制したマルシュロレーヌの半姉で、3代母キョウエイマーチは桜花賞馬、8代母クインナルビーはオグリキャップの5代母でもある。
ウォーターナビレラも、伏木田牧場でほぼ半世紀にわたって育まれてきた牝系の馬だ。
日本に古くから根付いている牝系が、サンデーサイレンス系の種牡馬などの血を投入されて活力を取り戻し、大舞台で存在感を示すケースが増えてきている。そういう牝系の馬が活躍すると、前述したニッポーテイオーのように、同じ牝系出身の往年の名馬にまたスポットが当てられる。
昔話をしながら勝ち馬予想ができるのはとても楽しい。そう思わせてくれる一戦である。