フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
元全米チャンピオン長洲未来が語る“日本語コンプレックス”…それでも「日系アメリカ人であることは、誇りに思っているんです」
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byGetty Images
posted2021/12/09 17:02
12月6日、マンハッタン・ブライアントパークのクリスマスツリー点灯式にて演技を行った長洲未来
「日本語が少し変だと言われて、言葉に詰まってしまう」
日本からロサンジェルスに移民した両親のもとに生まれた長洲は流暢な日本語も話すが、取材は英語で行った。
「実を言うと、以前に何度か日本語でテレビインタビューを受けたときに、日本語が少し変だと言われたことがあって。今は日本語で取材を受けると緊張して、時々言葉に詰まってしまうんです」。そう長洲が口にしたときは、意外な思いだった。
筆者はこれまでアメリカで生まれ育った若者を大勢見てきたが、両親が日本語で話しかけても、子供は英語で答えるというケースも珍しくない。長洲ほどきれいな日本語を話す人の方が、少数派である。
「でも私は敬語が使えないし、日本語の読み書きはできないの。日本に住んだ経験はないし、本来なら日本語学校に行く時間をスケートに費やしていたので……」
そう言って謙遜しながら、ちょっと残念そうな表情も見せた。
「でも日本は大好き。日系アメリカ人であることは、とても誇りに思っているんです」
そう言う彼女に、あなたの日本語の能力も誇りに思って良いですよ、ネイティブとほとんど変わりない日本語ですと伝えると、「本当に?」と何度も繰り返し、ちょっと恥ずかしそうに微笑んだ。
このインタビュー後、赤いドレスに着替えて氷の上に出た長洲。暖冬のニューヨークはまだ街路樹の葉が落ち切っておらず、演技中も風が吹くたびに落ち葉がリンクの上に落ちてくるというハプニングも。その合間を滑りぬけながら、集まったニューヨーカーの観客の前で得意のビールマンスピンなどを披露した。今季は全米をツアーするスターズオンアイスの出演も予定している。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。