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落合博満監督の“賛否と神采配”伝説 「そうだ相手は落合さんなんだ」「素材に恵まれた選手に出会えて幸せだよ」 

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posted2021/12/08 17:03

落合博満監督の“賛否と神采配”伝説 「そうだ相手は落合さんなんだ」「素材に恵まれた選手に出会えて幸せだよ」<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

2006年日本シリーズでの落合博満監督。00年代~10年代初頭の中日は黄金期を迎えた

山井の“完全未遂”と日本ハムが感じた「落合さんだから」

<名言3>
パーフェクトの投手を代えるなんて考えもしませんでした。だけど、後から、そうだ相手は落合さんなんだ、と思いました。
(田中幸雄/NumberWeb 2020年12月7日配信)
https://number.bunshun.jp/articles/-/846124

◇解説◇
 リーグ連覇を目指した07年、セ・リーグは中日、巨人、阪神の三つ巴でのハイレベルな優勝争いが繰り広げられた。レギュラーシーズンは打力に勝る巨人相手に1.5ゲーム差の2位に終わったものの、この年の落合中日が圧倒的なインパクトを残したのはポストシーズンでの戦いぶりだった。

 この年からセでも開催が始まったクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージの阪神戦で2連勝してセカンドステージへ。高橋由伸や小笠原道大、阿部慎之助らが並ぶ強力打線の巨人相手に5-2、7-4、4-2。土つかずの5連勝でCSを突破した(なおこの結果を受けて、翌年からリーグ優勝の球団にアドバンテージ1勝が設けられることになった)。

 落合の勝負師ぶりに驚かされるファンは多かったが……世間を大きく揺るがしたのは、日本ハムとのリマッチとなった日本シリーズ第5戦だった。

 中日は4戦を終えて3勝1敗と53年ぶりの日本一に王手をかけていた。この日の先発は山井大介。独特の軌道を描くスライダーを武器に、日本ハム打線を文字通り牛耳った。

「山井投手はキレッキレでした。スライダーが右打者の顔の前から外角いっぱいに落ちていく。6回くらいから、まずいぞ……という空気はベンチにありました」

 日本ハムのショートを守る金子誠がこのように感じたほどだったという。山井と中日は8回まで、得点だけでなく、ヒットも四球もエラーも「0」をスコアに刻み続けた。ナゴヤドームには「日本シリーズ史上初の完全試合達成」への期待が高まっていた。

 しかしこの試合、スコアが動いたのは2回裏、ダルビッシュから平田良介が放った犠牲フライの1点だけで、最少得点差でのリード。なおかつ山井は右手中指のマメをつぶしていた。それを早期から察知していた森繁和投手コーチと落合監督が、あまりにも有名な「山井降板、9回岩瀬投入」を決断したのだった。

「なんでパーフェクトの山井を代えるんだ?」

 後に賛否両論を巻き起こす継投策について、日本ハムのトレイ・ヒルマン監督は「なんでパーフェクトに抑えている投手を代えるんだ?」と首をかしげたという。しかし現役時代の落合を知る日本ハムの選手、コーチたちは少々違う心境を持っていたようだ。

【次ページ】 名捕手・伊東勤の興味深い“落合監督論”とは

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