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マラソン界最速カップルが結婚 鈴木健吾&一山麻緒「きっかけは“敗北のMGC”」2人の知られざる共通点とは
text by
酒井政人Masato Sakai
photograph byTakuya Sugiyama/AFLO
posted2021/12/06 11:03
12月1日、男子マラソン日本記録保持者の鈴木健吾(富士通)が女子マラソン単独アジア記録を持つ一山麻緒(ワコール)と結婚したことを発表した
東京五輪に出場した一山は酷暑のレースを8位でフィニッシュ。五輪の女子マラソンでは日本人として17年ぶりの入賞を達成した。
「9番よりは8番の方がうれしかったので、最後は笑顔で終わろうと思って、手をあげて走りました。今日のために頑張ってきて、世界の選手と一緒に走ってみて、世界の人たちは暑くても強いなと思いました。もうこれ以上頑張れないというくらい走ってきたと思うので、今日は勝てなかったですけど、悔いはありません」(一山)
良きパートナーであり、良きライバル
ふたりのキャリアを振り返ると、多くの共通点があり、同じような苦しみを抱えてきた。それゆえに、お互いに惹かれ合うものがあっただろう。良きパートナーであり、良きライバル。そんな関係のような気がしている。
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日本の企業に所属する女子アスリートは“寿退社”するケースがほとんどだ。しかし、時代は少しずつ変わっている。赤羽有紀子、木崎良子、福士加代子らは結婚後も所属チームに残り、競技を続けてきた。最近では窪田忍(九電工)と前田彩里(ダイハツ)という現役ランナー同士の結婚もある。
また世界には意外とママさんランナーが多い。ポーラ・ラドクリフ(英国)は2003年に女子マラソンで2時間15分25秒の世界記録(当時)を樹立。2007年1月、33歳のとき長女を出産すると、翌年11月のニューヨークシティを2時間23分56秒で制している。2010年10月には第二子を出産。翌年9月のベルリンでも2時間23分46秒の好タイムで3位に入っている。ラドクリフの場合は、夫がコーチを務めていた。
鈴木と一山はマラソン界のビッグカップルとして注目を浴びることになるが、どんな未来が待っているのだろうか。取材で感じたのは、鈴木は口数が少ないものの、芯が強いタイプ。一山は常に笑顔で明るい印象がある。おそらくともに“負けず嫌い”な性格だ。ふたりは結ばれて、さらに強くなった。年齢を考えると、強い向上心のあるふたりなら、まだまだキャリアを引き上げることができるだろう。2024年パリ五輪の活躍を期待しつつ、とにかく幸せな家庭を築いていただきたいと思う。
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