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プロ野球PRESSBACK NUMBER
「パパのようで、ブラザーみたいな存在」日本ハム杉谷拳士が明かす栗山英樹監督との“11年間”で見つけた「自分らしさ」
text by
石井宏美Hiromi Ishii
photograph byMiki Fukano
posted2021/12/04 11:03
悔しいシーズンとなった1年間を振り返った北海道日本ハムファイターズの杉谷拳士。「野球人生を変えてくれた」と感謝する栗山監督への想いが溢れた
――今シーズン、一番苦しかった時期は。
杉谷 やっぱりファームに落ちたときは体もきつかったですし、万全な状態で試合に臨めていないと自分でも感じていました。トレーニングの仕方からボールの見方、打席への入り方、アプローチ、いろいろなことを変えて、何か新しい感覚が出てこないかなと模索しました。
――今年が30代になって初めてのシーズンでした。20代のときとの違いを痛感することもあったのでしょうか。
杉谷 やっぱり体は正直ですよ(苦笑)。気持ちは常に20代前半のフレッシュな状態ですけど、疲労の抜け方が以前に比べると鈍いし、体にガタがくるとまでいうと大げさですけど、やっぱり今までとは違うなという感覚は確実にあるので。体力が続く限りはファイターズのユニフォームを着てグラウンドで明るく元気な姿を見せ続けたいし、30歳を超えた今、体と相談しながらトレーニングを積んでいかないといけないと思っているんです。ここで踏ん張らないと、この先長く野球をすることはできないですから。
――今シーズンで栗山英樹監督が退任されました。札幌ドームで行われた退任会見でサプライズ乱入していましたが、ともに戦った10年間を振り返ると、どんな時間でしたか。
杉谷 なによりもまず、ものすごく寂しいですね。栗山さんには僕の性格や野球に対する思いなどもすべて理解していただいた上で、いろいろな言葉をいただきました。本当にたくさんあるんですけど、一番胸に突き刺さっているのは、『拳士は拳士らしく真っ直ぐ進みなさい』という言葉。
僕の性格やキャラクターで、“なんだよ、あいつ”と思う人もいるし、「ちゃんと野球やっていないじゃないか」と誤解されがちで、そういう言葉に対してどうしたらいいのかなと考える時期もあったんですが、栗山さんは常にそんなことは関係ない、と言ってくれて。「お前がちゃんと野球に取り組んでいること、練習していることは知ってる。だから、自分のやりたいように真っ直ぐに進みなさい」と。なかにはそう思わない人がいるかもしれないけれど、それ以上に僕が明るく元気に野球をやることで勇気づけられる人がたくさんいるんだと言い続けてくれました。
その言葉は大きな支えになったし、来年でプロ14年目になりますが、あの言葉があったからこそ、僕はプロでも迷わずまっすぐに進めたと思っています。