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「パパのようで、ブラザーみたいな存在」日本ハム杉谷拳士が明かす栗山英樹監督との“11年間”で見つけた「自分らしさ」

posted2021/12/04 11:03

 
「パパのようで、ブラザーみたいな存在」日本ハム杉谷拳士が明かす栗山英樹監督との“11年間”で見つけた「自分らしさ」<Number Web> photograph by Miki Fukano

悔しいシーズンとなった1年間を振り返った北海道日本ハムファイターズの杉谷拳士。「野球人生を変えてくれた」と感謝する栗山監督への想いが溢れた

text by

石井宏美

石井宏美Hiromi Ishii

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Miki Fukano

昨年のオフに引き続き、北海道日本ハムファイターズ杉谷拳士選手の独占インタビューが実現。今季はキャリアワーストとなる成績に終わり、チームもパ・リーグ5位に沈んだ。“ビッグボス”新庄剛志を指揮官に招聘した新シーズンへ向けた意気込み、そしてチームを去った栗山英樹監督、斎藤佑樹への思いを訊いた(全2回の前編/後編へ)。

――昨シーズン終了後、2021年は年間通して波がないような成績を上げたいとおっしゃっていました。やり残したことがあったと感じることが多かったので、そういったものも充実感に変えたい、と。

杉谷拳士(以下、杉谷) チームもAクラスから遠ざかっていたので、今年はなんとか1つでも多く勝てるように貢献したいと考えていましたし、個人的にも打つ方で結果を残したいという気持ちが強かったですね。スイッチヒッターとして右でも左でも結果を残すと並々ならぬ決意で臨んだシーズンだったんですが、2011年に一軍入りして以来、キャリアワースト(54試合出場、打率.117)のふがいない成績で終わってしまい、また、チームも5位とBクラスで終わってしまった。本当に申し訳ない気持ちでいっぱいですし、僕自身も見つめ直すところ、見つめ直さないといけない部分が多くありました。

――チームも序盤から黒星が先行するなかで苦しい時期が続いたと思います。

杉谷 なんとか野手陣で盛り立てていこうという強い気持ちではいましたけど、やっぱり負けが続くと、今日も負けてしまうのかな……という雰囲気が漂っていました。もちろん、みんな必死でプレーしていたし、“どうにかして勝ちたい、勝ちにつなげるんだ”と強い思いで戦ってはいるんですが、それが空回りしてしまうという悪循環。とくにコンちゃん(近藤健介)からは“俺がなんとかしなきゃ”という使命感が感じられて、すごくいろいろなものを背負わせてしまった。新人の(伊藤)大海にしてもすごく負担をかけてしまったと思います。

 ただ、その状況のなかでも後半戦になるにつれて、若い選手たちが目の色を変えて取り組むようになってギラギラした感じも出てきて、かみ合わなかった歯車が少しずつかみ合うようになったところもあった。僕自身、彼らから“よし、俺も負けてらんない。ギラギラしてやるぞ”という気持ちで頑張らなきゃなと新しい感覚、刺激を受けました。

打撃不振の要因とは?

――ご自身の不振の原因についてはどのように分析されていますか。

杉谷 “打ってやろう、打ってやろう”という気持ちがとにかく強すぎて、ボール球にものすごく手を出していましたね。振り返ると、抑えられ方もいつも同じパターンで、“また三振してしまったな”という感じで、なかなか修正できなかった。打つメンタリティがよくなかったと思います。昨年は8月以降大失速してしまいましたけど、今年はその状態が最初から続いてしまった。

 少し状態がよくなって打ち始めた時期もありましたけど、急に左でも右でもホームランが出て、自分の本来のバッティングとは別の感覚も生まれてしまって……あまりよくなかったですね。欲が出すぎてしまって大きいのを狙いにいってしまったり、謙虚な気持ちで打席に入れていなかった。

 いずれにしても、今年の成績は現時点での実力だと思っているので、反省しつつ改善していかないと先がない。シーズン最後の方には右ピッチャーで右打席に立って、新しい感覚も少しずつ出てきているのでそのあたりの感触は大切にしていきたいなと思っています。来シーズン、いきなり右ピッチャーに対して右に立ったり、「こいつは何をしてくるか分からないぞ」と思わせるためにも、しっかり練習を積んでいかないとと思っています。新しいスイッチヒッターとしての形もこれから確立させていきたいですね。

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