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「高卒4年目の村上があんなことしていたら、90年代だったら怒られるよ」高津臣吾監督(53歳)がヤクルトで変えた“野球界の常識”

posted2021/12/02 17:04

 
「高卒4年目の村上があんなことしていたら、90年代だったら怒られるよ」高津臣吾監督(53歳)がヤクルトで変えた“野球界の常識”<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

2014年からヤクルト一軍投手コーチ、17年に二軍監督。昨年から一軍監督を務め、日本シリーズ制覇に導いた高津監督

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生島淳

生島淳Jun Ikushima

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Hideki Sugiyama

 連日の接戦を繰り広げた白熱のシリーズは、高津臣吾監督率いるスワローズの日本一で幕を閉じた。『Number』1041号では高津臣吾監督にインタビューを行い、頂点を引き寄せたチーム作りに迫っている。本稿では、本誌で掲載しきれなかった“日本一の指揮官”のエッセンスと“原点”に迫る。

 20年ぶりの日本シリーズ優勝を果たしたヤクルトスワローズ。

 勝因とは複合的なものだ。高津臣吾監督はいう。

「優勝できたってことは、どれかひとつが決定的な要因ということはあり得ない。最下位に終わった昨季から比べて、すべてのエリアでちょっとずつ積み上げがあったんです。先発ブルペン、ムーチョ(中村悠平)をはじめとしたバッテリーの強化。故障が少なくて、シーズンを通してレベルを上げられたのが大きかったかな。あと、目立たないけどディフェンス力も上がっています」

 投手陣、守備の話が先に来るのは、いかにも投手出身の監督らしい。そして、打撃。

「高い身体能力を持っている塩見(泰隆)が、ようやく1番打者に固定できるようになったし、オスナ、サンタナのふたりが4月のいい時期に合流できて、相手に圧力をかけられるようになった。それに、4番のムネ(村上宗隆)がよくボールを見極められる。外国人ふたり、それに村上といった中心打者が我慢強ければ、それはチーム全体にいい意味で伝染していく。得点力が上がったのは、地味にそのあたりも大きいんじゃないかな」

 たしかに、日本シリーズひとつとってみても、6試合を戦って、ヤクルトは21個の四球を選んだのに対し、オリックスは15個。投手の制球力に起因するところもあるが、ヤクルトの打者はシーズンを通して“patient”=打席で粘り強さを発揮したことは間違いない。

巨人、阪神のダグアウトとは対照的だった

 選手たちは、ある意味で「同期」していたように思う。

 打線全体としてストライクとボールの見極めをしっかりと行い、ファウルで粘り、投手へ圧力をかける姿勢を共有していた。それは日本シリーズ第1戦で山本由伸に対し、6回で112球を投げさせ、降板を強いた試合に凝縮されていた。

 ではなぜ、ヤクルトの打者たちは同期が出来たのか?

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東京ヤクルトスワローズ
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