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ヤクルト高橋奎二の日本シリーズを高校の恩師がこっそり初観戦「泣かせるな、コイツって思いました」試合後の直電と感謝の言葉
posted2021/12/02 11:02
text by
沢井史Fumi Sawai
photograph by
Sankei Shimbun
11月21日、日本シリーズ第2戦の舞台・京セラドームのスタンドにいた龍谷大平安高校の原田英彦監督は、帽子を目深にかぶり、教え子のマウンドを見つめていた。
座席は最前列から2列目。
「この回は長めにキャッチボールしているな……とか、この回はカーブが多めやな……とか、見ていて分かるんですよ」
実は、高橋奎二投手の試合を生で観戦するのはこの日が初めてだった。
「一軍に定着しないと、いつ投げるのか分からないでしょう。ローテーションに入ればいつごろ投げるのか分かりますけれど、そこまでの選手ではなかったので。大学生の選手も同じですよ。レギュラーにならないと、見られないじゃないですか。(教え子が)4年生になって試合に出られるようになったら、リーグ戦はできるだけ見に行くようにしています」
では、なぜこの日は帽子を目深に被っていたのか。
「恥ずかしかったんですよ。実はかなり前からチケットを取っていたんです。私がいることが分かると本人も力んでしまうし、試合に影響したら申し訳ないですから」
ただ、ひょんなことで自分が来ていることが高橋本人に分かってしまったのだという。
「その前から、スタンドをキョロキョロ見て(自分を)探しているのは分かったんです。以前、日本シリーズには行く話を少ししてはいましたが、どのあたりで見ているまでは話していませんでしたからね。これだけお客さんが多いのに見つけられるわけないやろ……と思っていたんですけれど」と、恩師は苦笑いを浮かべた。