- #1
- #2
フランス・フットボール通信BACK NUMBER
「イタリアには背を向けられない」バロンドール候補のMFジョルジーニョが母国ブラジルでなくイタリア代表を選択したわけ
text by
フランス・フットボール誌France Football
photograph byL’Équipe
posted2021/11/28 17:02
『フランス・フットボール』誌のインタビューに対し、ジョルジーニョは少年時代の逸話から世界有数のボランチになるまでの経緯を詳細に語った
僕の移籍
サッリとは3年間一緒に働いた。でも彼からチェルシーに来て欲しいと言われたときは、当初あまり気乗りしなかった。マンチェスター・シティとの話し合いをすでに始めていて、気持ちはそちらに傾いていたからだ。だが、それでもチェルシーは諦めなかった。今はチェルシーでプレー出来てとても満足している。
2021年は信じられない年だった。《シュールレアル(超現実的な)》としか言いようがなかった。僕がこの《シュールレアル》という言葉をよく使うのは、思いもよらない大きな出来事(CL優勝とEURO優勝、UEFA欧州最優秀選手賞受賞など)がいくつも起こったからだ。夢見たことさえなかった。これまでの経験の後に僕が得た成功については、どんな言葉で語ればいいかわからないし、ちゃんとした理由づけもできない。うまく説明できなくて申し訳ないけど、今は喜びをかみしめているよ。
僕のスタイル
僕はさほど目立つタイプではない。どちらかと言えば影の存在だ。エンゴロ(・カンテ)のように90分間ピッチのあらゆるところを走り回るわけでも、1試合で300回ボールに触れるわけでもない。また(マテオ・)コバチッチのように、前線にパスを送る前にドリブルで相手をふたりかわすわけでもない。チーム全体を滑らかにして、エンジンにオイルを注入するタイプだと思っている。チームメイトの信頼を得られたのは彼らに有益な情報を与えるからで、彼らも僕の言葉を聞いて満足している。
プレーの流れを予測するのが僕のスタイルだ。どこでボールをインターセプトすればいいのか。相手ディフェンスの穴を見つけるために、ピッチのどのゾーンで圧力をかければいいのか。どこに動けばチームメイトのためにスペースが作れるのか……。そうしたことはなかなか周囲にも感知されないし、僕は他の選手に比べてずっと目立たないと思っている。
僕のバロンドール
バロンドールにはそれほどこだわってはいない。執着しすぎると、現実が見えなくなるからだ。候補者リストに名前が挙がったのは身に余る光栄だと思っているが、あまり騒ぎ立てて欲しくはない。もちろんバロンドールに選ばれるのを夢見ないわけじゃないけど、努めて距離を保つようにはしている。
ロッカールームのなかではよく話題になっている。でもとても軽い調子で、ジョーク混じりでみんなが話題を楽しんでいる感じだ。
ただ、ここまでのキャリアを通じて学んだことがある。それは大きな夢であれ小さな夢であれ、同じだけの努力をしなければ実現できないということだ。だから僕も大きな夢を抱いて、バロンドールを獲得できたらと願っている。