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《NBA》渡邊雄太「今夜は、すべてが完璧な感じだった」ナースHCが“たった1回のチャレンジ”を渡邊のディフェンスに使った理由
posted2021/11/26 17:03
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
photograph by
USA TODAY Sports/Reuters/AFLO
「今夜は、すべてが完璧な感じだった」
現地11月24日のメンフィス・グリズリーズ戦で、今季初めてレギュラーシーズン試合に出場した渡邊雄太(トロント・ラプターズ)は、試合後にそう言うと笑顔を見せた。
控えから13分46秒出場し、3得点、3リバウンド、2スティール、2ブロック。フィールドゴールは3本すべて外し、そのうち2本がレイアップだったことについては、チームメイトでリーダーのフレッド・バンブリートから愛情のこもった悪態も受けていたが、そのことすら「完璧」な夜を演出していた。
待ちに待っていた今季初戦。しかも、相手はNBAの最初の2シーズンを過ごした古巣のグリズリーズ。試合に出て、チームに貢献し、見事逆転勝利を勝ち取ったのだから、これ以上ないシナリオだった。
それだけ、今季初戦を迎えるまでの1カ月半は苦しく、長かった。
手応えを感じていたプレシーズン
10月6日、トレーニングキャンプ中の練習で、左足の踵近くにプツッとした感覚を感じた。咄嗟に、アキレス腱の故障かもしれないと思ったという。11月半ばにラプターズ番記者たちとの取材に応じた渡邊は、そのときの状況をこう語っている。
「5対5でレイアップに行ったときに、何かがプツッとした感覚があったんです。人との接触も何もない状態でのことだったので、最初はアキレスの故障かもしれないと思いました。そうではなかったのでほっとしましたが、最初はかなりヒヤッとしました」
怪我をする2日前のプレシーズン試合初戦では、17分弱の出場で10得点、7リバウンド、2アシストと活躍して、開幕ロスター入りに手応えを感じていた。そんな中での故障。診断の結果、足底筋の断裂とわかった。アキレス腱ではなかったのは救いだが、それでも故障のタイミングがよくなかった。
「時期的にプレシーズンの1試合目が終わって、個人的にいいプレーができたと思ったんですけれど、その直後だったんで。この怪我が自分の、あのときの状況に影響する可能性はあるなっていうのは、正直すごく考えました」