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《NBA》渡邊雄太「今夜は、すべてが完璧な感じだった」ナースHCが“たった1回のチャレンジ”を渡邊のディフェンスに使った理由
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
photograph byUSA TODAY Sports/Reuters/AFLO
posted2021/11/26 17:03
10月に負傷した影響で出遅れていた渡邊雄太。課題を口にしながらも、古巣相手に勝利した今季初戦を笑顔で振り返った
ナースHCの期待通り、渡邊は試合に出てくると、すぐにインパクトを与えた。
第2クォーターが始まって間もなく交代して出ると、直後にヘルプ・ディフェンスからグリズリーズのタイアス・ジョーンズのレイアップをブロック。さらにそこから速攻で走り、味方が外したレイアップをリバウンドし、相手のファウルを誘ってフリースローを獲得。その後も、アクティブなディフェンスでスティールを奪うなど、まさにチームにエナジーをもたらすプレーの連続だった。
「ユウタはすばらしかった」と試合後にナースHCが言うと、バンブリートも、「彼がどれだけハードにプレーするのか、いない間に忘れていたよ」と、嬉しそうに語った。
第4クォーターにはこんな場面があった。グリズリーズのディロン・ブルックスがベースラインをドライブインし、ダンクを決めようと空中に跳んだところ、渡邊がヘルプに出てブロック。一度は渡邊のファウルが吹かれたのだが、ナースHCがコーチズ・チャレンジで挑み、ビデオレビューの結果、判定が覆った。1点差で追う接戦の場面だったとはいえ、まだ残り時間が10分以上あるタイミングで、1試合で1回しか使えないコーチズ・チャレンジを使ったのは、ナースHCから渡邊のディフェンスへの信頼の表れでもあった。
渡邊自身、そこでコーチがチャレンジを使うとは思わず、判定を受け入れようと諦めていた矢先のことだった。
「僕も正直クリーン・ブロックだって思ったんで、そこでチャレンジしてくれたっていうのは嬉しかったですね」と渡邊も喜んだ。
全米で話題になったブロック
ダンクに来た相手に対するブロックといえば、渡邊は昨シーズン、アンソニー・エドワーズ(ミネソタ・ティンバーウルブズ)のダンクをブロックに行き、上から豪快なダンクを決められ、全米で話題になったことがあった。引き立て役として話題になった場面だったが、その時に、「僕の場合、あのダンクをブロックに行かないっていう選択肢は絶対にありえない。もし同じシチュエーションが今後あれば、毎回跳びますし。もし100回のうち99回ダンクをされても、1回ブロックできる可能性があるなら必ずブロックに跳びます」とコメントしていた。
ダンクに来た相手こそ違ったが、まさに有言実行のディフェンスだった。