酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
ヤクルトvsオリックスが日本シリーズ史に残る《神回》になった決定的要因 「勝利の方程式」のつぶし合いがエグすぎる
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byHideki Sugiyama
posted2021/11/26 17:06
マクガフらはレギュラーシーズンで奮闘した。しかし初戦から「勝利の方程式」を両軍でつぶし合うという流れが、2021年の日本シリーズにはある
第3、4戦はオリックス救援陣が……
<11月23日/第3戦>
ヤクルト〇5-4●オリックス
・オリックス
田嶋 4.1回92球2安0本3三3四1失1責
比嘉 0.1回5球0安0本0三0四0失0責H
バルガス 1.1回28球1安0本2三2四2失1責
吉田凌 1回14球2安1本1三0四2失2責●
K-鈴木 1回17球0安0本3三0四0失0責
・ヤクルト
小川 6回97球5安1本7三1四3失2責
スアレス 0.1回16球0安0本0三2四1失1責
田口 0.1回8球1安0本1三1四0失0責
石山 1.1回10球0安0本1三0四0失0責○
マクガフ 1回12球1安0本0三1四0失0責S
先発はともに3番手以降となるので、東京ラウンドからは継投が前提になる。オリックスの田嶋は球数が嵩み、5回持たずに降板した。中嶋監督はワンポイントの比嘉のあとまたバルガス。何としても戦力にしたかったようだが、また四球を出して失点した。
ヤクルトは小川の後をスアレス、そして後半戦は左のワンポイントの田口とつないだが1失点。しかしここで、シーズン序盤はクローザーを務めるも後半は不振だった石山が好投。高津監督は「いける!」と思ったはずだ。
そして最終回、マクガフがマウンドへ。ヤクルトベンチの緊張がスタンドからも感じられたが、マクガフは2走者を出し、万全とは言えなかったものの何とかセーブをもぎ取った。ヤクルトとしては、これが大きかった。
<11月24日/第4戦>
ヤクルト〇2-1●オリックス
・オリックス
山崎颯 5回84球4安1本5三2四1失1責
増井 0.2回20球1安0本0三2四1失1責●
比嘉 0.1回9球1安0本0三0四0失0責
富山 1回12球0安0本0三0四0失0責
ヒギンス 1回10球0安0本1三0四0失0責
・ヤクルト
石川 6回77球3安0本5三1四1失0責○
石山 1回16球1安0本2三0四0失0責H
清水 1回10球1安0本1三0四0失0責H
マクガフ 1回12球1安0本0三0四0失0責S
オリックス山崎颯の5回1失点は想定内だろう。続いてこれもCSファイナル3戦目で1回を無失点に抑えた増井をマウンドに上げる。中嶋監督としては、このシリーズが9回打ち切りではなく12回まであるために、使える救援投手の頭数を揃えたかったのだろう。バルガスに続いて何としても「使える投手」を増やしたいとの意図を感じたが、増井は2四球を与え失点を喫した。
対するヤクルトは石川雅規が、初回、吉田正尚を空振り三振に切って取るなど名人芸のマウンド。130km/hそこそこの速球はオリ打線にはずいぶん速く見えたはずだ。石川の後は第3戦で使えることが確認できた石山を経て、初戦で2人の走者を出したを与えた清水。これも恐る恐るではあったが無事に切り抜け、マクガフが連続セーブ。ヤクルトは「勝利の方程式」を取り戻した格好になった。
オリックスはヒギンスが8回裏を無失点に抑えたことは収穫だが、クローザーの平野佳寿を一度もマウンドに上げることなくカド番に追い込まれた。