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「ぼくも優真みたいに」「佐藤選手は良い存在」鍵山優真18歳と佐藤駿17歳が明かしたライバルへの想い《GPフランス大会でワンツー》
posted2021/11/24 17:01
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph by
Getty Images
11月20日からフランスのグルノーブルで開催されたGP大会第5弾、フランス杯。男子は鍵山優真がSP、フリーともトップを保って優勝を手にした。7位から逆転優勝を果たしたイタリアGP大会に続けて2連勝。今季の男子で唯一2試合優勝したトップの成績で、GPファイナル進出を決めた。
「GPファイナルは自分の今シーズンの目標の一部でもあって、日本開催でとても出たかった試合だったので、GPシリーズ通して2試合優勝でファイナルに行けたことは凄く良かったと思います」
会見でそう語った鍵山だが、喜びに浮かれている様子は全く見せなかった。
「今の自分にファイナルで戦う実力、ファイナルで優勝を争える実力があるかと言われたら、まだそうでもないので……。この試合だったり、前大会を見ていると、やっぱり実力が足りない部分は多く感じられた。そこはもっともっと練習して4回転ループだったり、あとは後半でも良いジャンプが跳べるように、もっと練習していきたいと思います」
そう冷静に自分を分析し、次へと目を向ける。特にフリーでは、最後の3アクセルを1回転半にしてしまったことに、悔しさが残った。
「もっともっと気持ち、根性が足りなかった」と、勝利よりも演技の反省の言葉を口にした鍵山。GPファイナルでは、宇野昌磨、ネイサン・チェンらと顔を合わせることになる。
日本人初、ルッツとフリップの4回転を成功させた佐藤
一方、鍵山の良きライバルであり友人でもある佐藤駿は、SP4位から挽回して2位。フリーでは、初めて試合で4ルッツと4フリップを成功させた。世界でもこの二つのジャンプを試合で成功させたのは、ネイサン・チェン、ヴィンセント・ジョーなど一握り。日本の選手としては、初めてだ。
「今回、初めて表彰台に乗れたことは、すごく嬉しいことだと思っています。でももっと頑張って練習していこうと思っています。これからも頑張ります」と言葉少なに、喜びを語った。初挑戦した10月のスケートアメリカでは、SPの前日の公式練習で肩を脱臼するという事故に見舞われた。それでもSP、フリーを滑り切って4位だった。
「帰ってからすぐ治療してくださって、ほぼ完治というか、練習とか全く問題なくできています」
肩の状態を聞かれて、そう答えた佐藤。
「今まで最高のスコアがジュニアの時のGPファイナルだったので、そこが自分の中で少し悔しいなと思っていました」と打ち明けた。佐藤は現在でも、ジュニア男子の歴代ベストフリースコアを持っている。ここではSPと、総合点でパーソナルベストを更新した。