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「ぼくも優真みたいに」「佐藤選手は良い存在」鍵山優真18歳と佐藤駿17歳が明かしたライバルへの想い《GPフランス大会でワンツー》
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byGetty Images
posted2021/11/24 17:01
GPシリーズ・フランス大会にて優勝を果たした鍵山優真(左)と2位の佐藤駿(右)
ノービス時代からの“ライバル関係”が生んだ成長
グルノーブルの表彰台に並んだ二人に共通しているのは、自分自身に厳しいこと。常に現状に満足せずに、さらに上を目指す姿勢を一瞬たりとも崩さないことだ。彼らはジュニアのさらに前の、ノービスの時代から一緒に競い合ってきた。
2019年8月には、アメリカのレイクプラシッドでジュニアGP大会に初挑戦した15歳の佐藤が優勝。どのような目標をたてて挑んだのかと聞くと、声は小さいながらもはっきりとこう答えた。
「優勝したいと思っていました。先週、優真くんがフランスで優勝したのでとても刺激を受けて、自分もこの大会で頑張って優勝出来たらな、と思っていました」
この大会の1週間前に開催されたフランスのクールシュベルジュニアGP大会では、16歳の鍵山優真が優勝していた。
12月、二人揃ってトリノのジュニアGPファイナルに進出。そこでは佐藤が優勝を果たし、鍵山は4位に。だがその2週間後の全日本選手権では、鍵山が宇野昌磨、羽生結弦に次いで3位に入り、佐藤は5位。代表に選ばれた四大陸選手権で、鍵山は3位に入賞し初のシニア国際メダルを手にした。
そして2020年3月にエストニアのタリンで開催された世界ジュニア選手権では、鍵山が2位、佐藤は6位という結果だった。
こうして二人で激しく競り合い、お互い切磋琢磨して育んできたライバル関係と友情だった。
二人の視線の先にあったのは北京オリンピック
タリンでは、佐藤も鍵山も次のシーズンはシニアに上がることを宣言した。
もう1年ジュニアに残って、世界ジュニアタイトルを狙うという選択もあっただろう。だがもちろん、二人の視線の先にあったのは北京オリンピックである。2022年2月に開催されるオリンピックのメダルを狙うのなら、その1シーズン前にはシニアに上がって国際ジャッジに顔を売り、トップスケーターとしての基盤を築くのが妥当な戦略だった。