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「フィニッシュは酷かった」「欠けているのはフィジカルの強さ」オマーン戦を見たトルシエが総括する、W杯最終予選突破への最後の課題 

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田村修一

田村修一Shuichi Tamura

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2021/11/22 17:04

「フィニッシュは酷かった」「欠けているのはフィジカルの強さ」オマーン戦を見たトルシエが総括する、W杯最終予選突破への最後の課題<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

予選を通じて、一貫して得点力不足については手厳しいトルシエ。言葉を選びながらも打開策を語った

「ベトナム戦も勝てば勝ち点9が加わるから21になる。つまり1月がもの凄く重要で、その2試合をホームで戦えるのは大きなアドバンテージだ。ベトナム戦も含め4試合のうち3つがホームで、日本は切り札を手にした。運命は自分たち自身の手にある。そこではサポーターの果たす役割も大きい」

――サウジアラビア戦が最大の大一番になるのでしょうか?

「相手のサウジアラビアよりも、上位2チームに入ることを考慮する。考えるべきは突破であって、対戦相手がどうということではない。目的はあくまで2位以内を確保することだ。ホームゲームが3つ残っていて数字の上では勝ち点9を得られる立場にある。そうなれば2位以内に確実に入れる。そのうえ緒戦が中国戦であるのは、1月も選手がチームに合流するのが試合の2~3日前であることを考えれば、次のサウジ戦まで5~6日を一緒に過ごせる。移動もなしに、日本で試合に向けて集中できるのはアドバンテージだ。

 もちろんすべての試合が重要で簡単ではない。最終予選も折り返しを過ぎで、ラストスパートに入ろうとする前に、日本はいい状態で今年を終えることができる。2敗を喫してからの日本は、自分たちの強さを十分に示した」

突出した個がいない日本の得点力不足の解決策

――さきほど重さと効率が足りないと指摘されましたが、規律やコンビネーションも含めて来年は改善していけるでしょうか?

「それは可能だが、改めて言いたいのはあれだけ動きながらさほど効果的な形を作り出せなかったことだ。得点は動きの中から生まれた。そして高いレベルでは、あれほど動くことはそう多くはない。それだけ激しく動きながらほとんど何も生み出せなかった。フィニッシュは酷かった。

 だからそこを改善していくべきだが、日本は個の力が優れているわけではない。以前は中田や本田はいたが、かつても今も個の力で他よりも秀でていたときはほとんどない。攻撃で重みのあるプレーができる選手が日本に存在したことはない。そうしたタイプは……」

――このチームにはひとりもいません。

【次ページ】 日本に欠けていたのはゴール前のフィジカルの強さ

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