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「グランアレグリアはスーパーホース」レース後にルメールが感情を爆発させた“特別な理由”とは《マイルCSで史上6頭目の快挙達成》
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byPhotostud
posted2021/11/22 12:07
マイルチャンピオンシップを制したグランアレグリアとルメール
着差は3/4馬身でも、ケタが違った
ホウオウアマゾンが先頭のまま直線に入った。
サリオス、インディチャンプらが内のホウオウアマゾンに並びかける。
その後ろにいたシュネルマイスターは追いながら少し外に進路を変え、外のダーリントンホールとインディチャンンプとの間にできた隙間を突いてスパートする。
そうしてややスムーズさを欠いたシュネルマイスターに対し、前に他馬のいない大外に持ち出されたグランアレグリアは気持ちよさそうにストライドを伸ばす。
ラスト200mを切ったところでルメールの右鞭を受けてさらに加速。際立つ末脚で、連覇を達成した。
着差は3/4馬身しかなかったが、まったく危なげない完勝だった。やはり、マイルだとケタが違う。
「勝てて安心しました。直線では大外に出して伸びることができた。今日は本当のグランアレグリアを見せることができました。ほかの馬と走り方が違いました」
そう振り返ったルメールにとって、これが節目のJRA通算1500勝目。7048戦目での到達は史上最速記録だ。
ゴール後にルメールが喜びを爆発させた理由
ルメールは、ゴールを通過すると、まず鞭を持った右手を突き出し、次に左の拳を大きく振り、グランアレグリアの首筋を軽く叩いて讃えてから、また拳を握りしめた。彼が、これほど大きなアクションで感情を表すことは珍しい。来年2月限りで引退する藤沢調教師に恩返しができたことで、喜びが爆発したのだろう。
「藤沢先生にとって、たぶんGIのラストチャンスでしたので、勝ちたかった。嬉しいです」
2016年の阪神ジュベナイルフィリーズ(ソウルスターリング)に始まり、ルメールは藤沢調教師の管理馬でJRA・GI10勝をマークした。自身のJRA・GI全40勝のうち4分の1が藤沢調教師とのコンビだったわけだから、非常に大きな存在であることがわかる。
勝負どころで迷わず外に出したのは、コースロスがあっても、前がクリアな状態で直線を走らせれば結果はついてくるという自信があったからだろう。短距離界の絶対女王の最高の瞬発力を、見事に引き出した。