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4月1日のプロポーズ「嘘じゃないよね?」藤井直伸&佐藤美弥《バレー代表セッター同士の仲良し夫婦》が幸せを感じる意外な瞬間
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph byNaonobu&Miya Fujii
posted2021/11/22 06:00
8月に入籍したばかりの藤井夫妻。代表セッター同士の結婚は話題を集めた
正式に結婚の約束を交わした後、7月に東京五輪が開幕した。
藤井へ向け「素直に応援できない」と辛らつな言葉を投げつけたこともあるように、最初は「男子だけでなく、女子の試合を冷静に見られるか怖かった」という東京五輪も、始まれば自然に受け入れ、楽しんだ。
「女子の試合を見ていても最初は悔しかったし、私もここにいたかった、という思いは消えませんでした。でも苦しい戦いが続く中で世間の声もどんどん厳しくなる。それはそれで腹立たしいし、何で頑張っている事実を認めようとしないんだ、と悔しくて。だから気づいたら男子も女子も、頑張れ、頑張れ、しかなかったですね。
藤井さんはオリンピックが始まる前の日にも『緊張してヤバイ。今までこんなに緊張したことがない』って言うから、そうだよな、それぐらいの舞台だよね、と思いながらも、そんなに緊張するということは明日スタメンなのかな? とこっちもドキドキして。いざ試合が始まったら、あースタメンじゃなかった、と思ったり(笑)。普通に、ただただ応援していました」
忙しい毎日、新婚生活は満喫できていない?
五輪を終えて間もない8月9日に入籍し、引っ越しも済ませた。藤井は10月15日に開幕したVリーグで10試合を終え、7勝3敗で3位と好調をキープ。美弥さんも、平日は新たな職場でフルタイムで働き、土日はVリーグの解説や古巣の日立リヴァーレのホームゲームに足を運ぶなど忙しい日々を過ごしている。新婚生活をゆっくり満喫する時間はない。
とはいえ、18時過ぎに帰宅してから、練習を終えて帰ってくる夫の健康を考え、栄養バランスを意識した食事をつくり、一緒に食べる。朝早く出かける自分の代わりに洗濯やゴミ捨ても率先して引き受け、買い物へ行けば「納豆買った?」と確認する夫との何気ない時間が幸せだ、と嬉しそうに笑う。
「“アスリートの妻”って、家のことを全部やって、ご飯をつくって家で待つ。ずっとそういうイメージだったし、できるならそうしたいと思ったこともあったんです。できる限り彼が長く現役選手であり続けられるように、食事に気を遣って、もちろんできることはやっていくけれど、アスリートを引退したら支えるのは終わり、ではないですよね。アスリートの奥さんだからアスリートを支えるのが仕事ではなく、結婚した大事な家族として、お互いがそれぞれやることをしながら、支え合っていくのが私たちには一番いいと思ったんです」