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かつて「清楚で地味」だった女王シェルバコワ17歳が見せた妖艶さと凄み…イタリア大会優勝でも気が抜けない〈ロシアの過酷選考レース〉

posted2021/11/10 17:00

 
かつて「清楚で地味」だった女王シェルバコワ17歳が見せた妖艶さと凄み…イタリア大会優勝でも気が抜けない〈ロシアの過酷選考レース〉<Number Web> photograph by Getty Images

GPシリーズ第3戦イタリア大会にて、世界女王としての貫禄を見せつけ優勝したシェルバコワ

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田村明子

田村明子Akiko Tamura

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Getty Images

 11月7日に終了したGPイタリア大会で、アンナ・シェルバコワがSP3位から逆転優勝。世界チャンピオンの実力を見せつけた。

 11月5日の女子SPは、サプライズの幕開けとなった。現世界チャンピオンのアンナ・シェルバコワは、ベルギーのルナ・ヘンドリックス、ロシアの新人のマイーア・ホロミカに次いで、3位スタートになったのである。ルッツコンビネーションが予定していた3+3ではなく3+2になってしまい、71.73を獲得。2021年3月のストックホルム世界選手権でのSPの得点より、9点以上低かった。

「練習でもしたことのないミスでした。いつも試合では緊張するけれど、今回は特にコンビネーションジャンプのことをずっと考えていて、きっと考えすぎたためだろうと思います」

 会見でそう口にしたシェルバコワ。彼女は6月に足の怪我をしてロシアでの強化合宿を欠席していた。10月のブタペスト杯では、後輩のマイーア・ホロミカに敗れて2位に終わっている。どのくらい調子を戻してきているのか、予想できない中でのSPのミスだった。

「清楚で地味」だった少女が世界女王に

 シェルバコワは2019年秋にシニアGPシリーズに上がり、たちまち表彰台を独占したロシアの「3人娘」の一人である。

 でもずば抜けた華のあるアリョーナ・コストルナヤ、5度の4回転をフリーに入れるアレクサンドラ・トゥルソワに比べて、一番地味で、清楚で、そして誤解を恐れずに言うなら少し影が薄い印象だった。だが常に安定した演技を見せ、着実に自分の足元を固めていったのもシェルバコワだった。2020年ストックホルム世界選手権では、肺炎から回復した体で初の世界タイトルを手にしていた。

【次ページ】 これまで見せたことのない“妖艶な笑顔”で

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