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〈引退〉新体操・皆川夏穂、15歳で本場ロシア留学→苦闘の8年間を次世代へ「3、4歳の頃から試合に向かって練習を」
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byAFLO
posted2021/11/07 11:00
エレガントな演技で観衆を魅了した新体操・皆川夏穂の“ラストダンス”
それでもここまでやって来られたのは、新体操に打ち込んできたからこそ得られたものが大きかったからだろう。
「新体操を通して、何があっても最後まであきらめないことや忍耐力など、精神面で学ぶことが多かった。たくさんの方々に応援してもらったので、人に対する感謝の気持ちや、大勢に支えてもらっているからスポーツが成り立つし選手が試合に出られるし練習できるという基本的なありがたみも学んだ」
ロシアで見た日本新体操の課題とは?
今後については、「自分自身、ケガが多かったので、スポーツの根本的なことや、スポーツ選手のケガについてなども勉強したい」という青写真を描きつつ、8年に及ぶ新体操王国ロシアでの経験を活かしたいという思いも語った。
「日本がメダル常連国になるために、ジュニアの頃からもっと強化できる部分があるのではないかと思う。根本的にロシアが日本と違うのはジュニアのナショナルチームがしっかりあることと、ロシアは新体操を始める3、4歳の頃から試合に向かって練習をしていること。自分が8年間ロシアに行かせてもらって得たものは大きい。そういったものを次の世代に伝えていけたらいいと思っている」
リボンの演技を終え、採点を待つ間のキス&クライではナディアコーチの第一声が、「バランスのところで、なぜ止まれなかったの? 背中を意識しなさいと言ったじゃない」だったと明かし、笑った。
「いつも通りな感じではありましたね。でも、ほかの技が良かったので、良かったねという感じでした」
最後まで全身全霊で演じ切ったからこそのすがすがしさが、妖精の微笑みを一層輝かせていた。