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〈引退〉新体操・皆川夏穂、15歳で本場ロシア留学→苦闘の8年間を次世代へ「3、4歳の頃から試合に向かって練習を」 

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矢内由美子

矢内由美子Yumiko Yanai

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posted2021/11/07 11:00

〈引退〉新体操・皆川夏穂、15歳で本場ロシア留学→苦闘の8年間を次世代へ「3、4歳の頃から試合に向かって練習を」<Number Web> photograph by AFLO

エレガントな演技で観衆を魅了した新体操・皆川夏穂の“ラストダンス”

 けれども、その後は苦しい時期が続くようになった。19年世界選手権では自らの成績で東京五輪の国別出場枠を獲得しながらも、内出血の影響による圧迫で筋腱神経組織が壊死(えし)する「コンパートメント症候群」を右足に発症。五輪の1年延期を受けて思い切って20年12月に手術を受けたが、今年6月にあった東京五輪代表選考会で敗れ、五輪切符を逃した。

 悔しさに心が痛み、悲しみが胸を刺した。だが、自国開催の世界選手権のため、心を奮い立たせて練習を続けた。リボンの演技が終わると、観衆から万雷の拍手が降り注いだ。

「2013年、まだ高校1年生の私に大きなプロジェクトのロシア合宿を提案していただき、たくさんの方々のサポートがあって、ロシアのトップの選手と毎日練習をさせてもらった。8年間一緒にやってきたナディア(・ホロドコバ)コーチはもちろん、皆さんに感謝の気持ちでいっぱいです。ここまで大変なこともいろいろあったのですが、あきらめずに最後までやりきることができて良かった」

 そして、こう続けた。

「ここまでの試合では、怖さや自分にプレッシャーをかけてしまって伸び伸び演技できなかった面があった。でも今回は、自分がやってきたことをそのまま出そうという気持ちで臨めた。今はすっきり、ほっとしています」 

18年のルール改正→“エレガンス系”には厳しい時代に

 引退についても詳しく語った。

「理由の一番は、ケガが多いこと。全身に痛めている部分があって、ケガをかばいながらずっとやってきている。ケガをしている状態で(パリ五輪まで)あと3年。しかも新しいルールは身体難度(のスコアを取ること)がすごく難しくなるので、突き詰めていくのは難しいかなと思った。まだまだ踊っていたい気持ちはあるのですが、代表としてはここまでかなと思っています」

 新体操は18年のルール改正で難度を示すDスコアの上限が撤廃され、演技構成の中にどれだけの技数を詰め込むかが成績を左右するようになった。その影響により、アヴェリナ姉妹に象徴されるような小柄で小回りの利く選手が台頭。皆川のようなエレガンス系には厳しい時代になっていたのだ。

【次ページ】 日本新体操の課題とは?

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