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23歳バースデー冨安健洋は《若くて強いアーセナル再建計画》の象徴… “90年代の伝説4バック”と引き合いにされる「明るい未来」
text by
田嶋コウスケKosuke Tajima
photograph byStuart MacFarlane/Getty Images
posted2021/11/05 06:00
(左から)ベン・ホワイト、セドリク・ソアレス、ティアニー、冨安健洋。アーセナル再建へ世代交代は確実に進んでいる
ジョージ・グレアム政権時代の90年代に堅守を誇り、「フェイマス・フォー」と呼ばれたトニー・アダムス、スティーブ・ボールド(のちにマーティン・キーオン/CB)、リー・ディクソン(右SB)、ナイジェル・ウィンターバーン(左SB)を引き合いに出しながら、直近2試合を1失点に抑えている現行の4バックを褒めた。
バーディー相手にも鮮やかなスライディングタックル
その中で、冨安は右SBとして大きな役割を果たしている。
先月30日に行われたレスター戦では、CFジェイミー・バーディーへのスルーパスをスライディングタックルでブロックすると、北ロンドンからアウェイマッチに駆けつけたアーセナルサポーターから「Super Tom! Super Tomiyasu!(スーパー、トム! スーパー、トミヤス!)」とチャントが沸き起こった。後半は押し込まれる展開になったが、冨安にミスはなく完封勝利に貢献した。
戦術面でも重要度は高い。レスター戦と前節アストンビラ戦では左SBのティアニーが負傷欠場した事情もあり、右サイドバックとして上下動を基本とするオーソドックスなタスクをこなした。
それだけでなく、加入からこれまでの試合を振り返ると、ビルドアップ時に中央へ絞ってCBの一角としてパスワークに参加したり、ワンボランチ採用時には中盤の位置まで上がり「偽SB」としてプレーしたりと、その役割は多岐にわたる。今のアーセナルで同様のタスクをこなせる選手は他におらず、チーム戦術における重要なキーマンであるのは間違いない。
冨安とともに流れを変えた守護神ラムズデイル
新加入の22歳GKラムズデイルも、負の流れを変えた立役者だ。冨安と共に9月11日のノリッジ戦で初先発を果たすと、正守護神としてゴールマウスを守り続けている。
先のレスター戦ではMFジェームズ・マディソンのFKをスーパーセーブでブロックした。元マンチェスター・ユナイテッドのレジェンドGK、ピーター・シュマイケルに「ここ数年で最高のセーブ」と絶賛されると、コーナー付近に陣取ったアーセナルサポーターも「イングランド代表の正守護神に!」のチャントで称賛していた。
こうしたファインセーブはもちろん、試合中に大声で味方を鼓舞、激励したりと、これまでアーセナルに欠落していたリーダーシップを注入している点も特筆に値する。
前線に目をやれば、ブカヨ・サカ(20)とエミル・スミスロウ(21)の下部組織出身の若手が眩しい輝きを放っている。サカは積極的に縦へドリブル突破を図り、スミスロウはシンプルながら効果的なプレーで前線に違いを生み出している。この2人も「新生アーセナル」の中心的存在だ。