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《20歳》佐々木朗希「誰かを目標にすることはなくなりました」「平均160キロぐらいを投げて」“令和の怪物”が描く自分だけの地図とは?
posted2021/11/03 06:00
text by
NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph by
Sankei Shimbun
<名言1>
能力やポテンシャルでは松坂大輔のさらに上。
(潮崎哲也/Number1002号 2020年5月7日発売)
◇解説◇
「魔球」と呼ばれたシンカーを武器に西武の黄金時代を支えた潮崎氏。現在は古巣で編成ディレクターを務めており、この秋のドラフトでも補強ポイントであった即戦力左腕として隅田知一郎(西日本工業大)、佐藤隼輔(筑波大)という実力者を獲得するなど、チーム強化にその手腕を発揮している。
そんな目利きをも驚かせるのが佐々木朗希という才能である。
高校歴代最速の163キロをマークした怪腕について、「(松坂)大輔も1年目からよかったけれど」と前置きしながらも、佐々木の潜在能力の高さを絶賛。「スタミナとかは大輔の方がある」と、まだまだ発展途上の部分が多い点も指摘しているが、もし順調に成長したら――と想像をしたくなるほど、佐々木はロマンにあふれた原石なのだという。
奇しくも松坂のラストイヤーとなった今年は、佐々木にとっても一軍デビューを果たしたシーズンとなった。プロ初勝利を挙げるなど徐々に登板機会を増やしており、来季以降の活躍はより期待される。“平成の怪物”から“令和の怪物”へ。そのバトンは渡された。
佐々木の“原点”は高2秋の7失点
<名言2>
相手をアウトにすることが一番大事だと思う。
(佐々木朗希/NumberWeb 2021年5月16日配信)
https://number.bunshun.jp/articles/-/848087
◇解説◇
160キロを超える豪速球と鋭い変化球。周囲は佐々木に自然と“奪三振ショー”を期待してしまう。だが、本人は至ってその意識はない。
キッカケは大船渡高校2年時の秋、秋季岩手大会準決勝での盛岡大付戦(花巻球場)。この試合で先発した佐々木は被安打10、7失点を喫して決勝進出を逃した。
「なんで打たれたのだろうといろいろと考えた。映像を見たり、人の話を聞いたりプロのインタビューを見たり。答えはもちろん1つではなくていろいろあるのだろうけど、その中で行きついた答えが1つあった」
それは打ち取り方だった。完璧にこだわり、圧倒的な投球にこだわり、三振にこだわってきた。結果、自身のリズムを崩し、力みを生み、体力は消耗していった。しかし本来、野球はアウトをとればいいのである。
「中学校の時や高校時代もそれまではファウルを打たれるのも嫌なところがあった。当てられたと思ってしまった。でも本来はファウルでもストライクを1つとれる。そう考えるようにした。外野フライでもそう。いい当たりをされてフェンス手前でアウトになっても完全に抑えて浅いフライで打ち取ってもアウトはアウト。変わりはない。ああ、自分に欠けていたことは、これだなと確信した」
この経験は、今も原点として佐々木の心に残っている。