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《20歳》佐々木朗希「誰かを目標にすることはなくなりました」「平均160キロぐらいを投げて」“令和の怪物”が描く自分だけの地図とは?
text by
NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph bySankei Shimbun
posted2021/11/03 06:00
20歳となった佐々木朗希。8月のインタビューでは「大人になった実感は全然ない」と語っていた
<名言4>
もう誰かを目標にすることはなくなりました。
(佐々木朗希/NumberWeb 2021年8月27日配信)
https://number.bunshun.jp/articles/-/849543
◇解説◇
8月、20歳になる心境を聞かれた佐々木はこんな風に語っていた。
「まあ、20歳になって年齢を重ねていけば自由が増えると思うので、その中でも自分を律していければいいかなと思ってます。プロになって2年目ですし、少しずつ自覚を持ちながら、成績も残していかなければいけないので……」
ルーキーイヤーに16勝を挙げ、20歳になるプロ2年目を前にこんな言葉を残した“平成の怪物”と比べると、いささか控えめに感じる。
『夢って言葉、好きじゃないです。色んなことは夢じゃなくて、目標ですから』
『ただ野球で一番になりたい。それだけなんです』
(松坂大輔/Number448号より)
プロ初登板から約10日後の、ナイター照明に光る甲子園での阪神タイガース戦。4点を失ったものの、ゲームを壊さずに5回を投げ切ると、その直後に味方打線が逆転してプロ初勝利。平成の怪物よりも1年以上遅い、「プロ1勝目」であった。一足飛びに階段を駆け上がって時代を彩ったスーパースターと比べるとこれもまた、対照的である。
ここまでの道のりに焦りはなかったか。
「こうなりたいという自分があって、まだそんなに具体的なものではないですけど、自分の将来というか、未来に懸けたということなんです。それがあるから練習も頑張れるのかなと思います。もちろん野球選手なので、試合に投げれば結果を出さないといけない。その上で、この先もっと時間が経って、身体も成長していけば、もっといいピッチングができるかなとは思っているんです」
佐々木は、未来図のアウトラインをこう表現する。
「今の時点で考えているのは……先発ピッチャーとしてイニングをしっかり稼ぐことができて、ストレートの平均で160キロぐらいを投げて、真っ直ぐも変化球もしっかりコントロールができる。そういう総合的に良いピッチャーを目指したいなと思っています」
ストレートの平均が160キロに達し、あらゆる球種を制球することができる。それは「良いピッチャー」の域を超えて、ほとんど世界最高のピッチャーを意味する。静かな口調の裏に巨大な野望が秘められていた。
「(他人より長い四肢が)有利だなと思ったのは、高校生ぐらいからですかね……。様々な人の話を聞いたりして、自分の特徴は他の人とは違うなと思いました。小学生や中学生のときは、好きな野球選手を目標にしてプレーしていたんですけど、そういうことに気づいてからは、自分だけのものをつくり上げていこうと考えるようになって、もう誰かを目標にすることはなくなりました。選手は人それぞれ絶対に違うので、そこは真似しても無理なんです。誰かを真似するよりは、自分の持っている感覚で、自分が立てた目標を追いかけるほうがいいかなと思ってます」
自分で描いた自分だけの地図。怪物と呼ばれる理由は、160キロのスピードボールだけではないようだ。
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