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《オリックス25年ぶりV》中嶋聡監督はなぜ“我慢”できるのか? 選手やコーチの証言「目玉が飛び出そうになることも」
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byKYODO
posted2021/10/28 11:15
2連連続で最下位に沈んでいたチームを見事な手腕で建て直したオリックス中嶋聡監督。会見では笑顔がこぼれた
「監督はすごく寛大です。我慢強い。やらせてみて、失敗したら次考える、という感じ。だから選手はやりやすいと思います。基本的には失敗するものだから、ということを前提に考えていて、じゃあそこからどうするんだ、というところを大事にされている。
それに、めちゃめちゃ細かいところまで見ているので、そこは本当にすごいなと思っています。あっちも見えてる、こっちも見えてる、ああそんなところまで、と思うぐらい(笑)。僕らは基本的に担当のところを見ていますが、監督は、内野の細かいところも、キャッチャーの細かいところも、ピッチャーに関しても、全部見ています。仕草一つ、言葉一つでもそう。『あの子はあそこであんなこと言ってるな、こんなこと考えてるのかな』と察しているようです」
ベンチでは中嶋監督の近くにいて、耳をそばだてているという辻竜太郎打撃コーチは、
「話を聞いていて、目玉が飛び出そうになることもあります」と笑う。
「ひらめきというか、采配が当たることが非常に多いです。その日の選手のバッティング練習の様子やコンディションをものすごくよく見ていますし、何日前どうだったとか、前々回の対戦ではどうだったかとか、記憶力がものすごくてびっくりします。やっぱりキャッチャーをやっていたからかなと思いますし、そこまで考えているんだな、自分はまだまだ勉強しないといけないなと思わされます」
選手ファーストの練習や采配
中嶋監督は選手たちの様子を観察し、疲労がたまっていると感じれば、試合前の練習を短くしたり、自由参加にすることもあった。
福田周平は、「中嶋さんはコンディショニングをすごく大事にされているな、ということが選手にも伝わるので、自分でもコンディションはしっかり整えないといけないなと、自ずと考えますね」と言う。
投手陣には3連投をさせないということも貫いた。抑えの平野佳寿は、2連投した翌日の試合ではベンチからも外すという徹底ぶりだった。
また、コーチ陣の発案で試合前のシートノックも基本的にやらなくなった。シーズン序盤は負けが込み、下位に沈んでいたため、「どうすれば選手が最高の状態で試合に入っていきやすいか」を重視し、試してみたという。
シートノックがあると試合前の準備が慌ただしく、余裕がなくなっていたため、選手たちは歓迎した。
「その日の相手投手との過去の対戦映像をじっくり見たり、リラックスしたり、頭を整理する時間が増えたことはめちゃくちゃ大きいです」と宗は言う。
安達も「考える時間ができるし、個人で思うように体を動かせるので、試合に入っていきやすい」と効果を語る。
選手ファーストで考えて、やれることをすべてやったら、選手たちが持てる力を発揮した。そういうシンプルなことだったのかもしれない。