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「マスターズが10だとしたら、今は1もない」“悪い状態だった”松山英樹はなぜ優勝できた? 試合後に明かす《最高のドラマ》の勝因 

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舩越園子

舩越園子Sonoko Funakoshi

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photograph byGetty Images

posted2021/10/25 11:04

「マスターズが10だとしたら、今は1もない」“悪い状態だった”松山英樹はなぜ優勝できた? 試合後に明かす《最高のドラマ》の勝因<Number Web> photograph by Getty Images

米ツアー通算7勝目を挙げた松山英樹。2位に5打差をつける通算15アンダーでの優勝だったが、苦しみながら掴んだ勝利だった

「ゴルフの調子は悪い状態。マスターズ優勝時が10としたら、今は1もない。安定しているとは到底、言い難い」

 そんな言葉の数々に周囲は不安を覚えたが、蓋を開けてみれば、沈んでいた言葉とは裏腹に初日は6バーディー、ノーボギーの見事なゴルフを披露し、2位タイで好発進。2日目は冷たい雨をものともせず、単独首位へ浮上した。

 ムービングデーと呼ばれる3日目はトップの座を不動のものとすべく善戦。ティショットを大きく左に曲げた18番はパーセーブに失敗したが、なんとか1打差で単独首位の座を死守した。

 開幕前、「レベル1」に低迷していたゴルフの調子が復調し、レベルアップしたからこその首位浮上だったのか? そう尋ねられた松山は、首を横に振った。

「状態は変わっていない。心配は心配です」

 それでも彼はリーダーボードの最上段に居続け、最終日を迎えた。

「いいプレーができれば勝てる。ベストを尽くして頑張りたい」

状態は悪くても、力を出し切る

 一体全体、松山の調子はいいのか悪いのか。理解するのが難しいと思うかもしれない。

 だが、ゴルフというゲームでは、理屈や理解を超えた現象が往々にして起こる。

 松山自身のショットに対する感触は、彼の言葉通り、「悪い状態」のまま変わっていなかったのだろう。

 しかし、どうしたらその悪い感触を良くできるのかと考えるのではなく、意識を別のところへ向けたこと、いや、意識が自ずと別のところへ向いてくれたことが幸いしたのだと彼は自己分析した。

「自分の状態は良くないですけど、力を出し切れるというか、まっすぐ飛ばさなきゃという気持ちがすごく出ているので、そのぶん安定しているのかなと思う」

【次ページ】 勝利を確信したイーグルチャンス

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