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「IWGPヘビーをオレにください」G1王者オカダ・カズチカが“封印されたベルト”を求めた理由〈飯伏幸太、無念の右肩脱臼〉
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2021/10/25 17:00
優勝旗とトロフィーを掲げるオカダ・カズチカ。31回目のG1クライマックスは飯伏幸太の負傷によるレフェリーストップという衝撃的な結末となった
王者鷹木を挑発「向こうでしょ、挑戦するのは」
1月の東京ドームでの鷹木信悟への挑戦に触れられると、オカダはこう返した。
「向こうでしょ、挑戦するのは。だってオレですよ、G1チャンピオンになったの。向こうはなってないですよ」
むしろ、オカダに挑戦するのは現IWGP世界ヘビー級王者で、今回のG1には勝てなかった鷹木の方だ、と言うのだ。王者鷹木にとっては耳を疑うようなオカダ発言だろう。
放送席にいた鷹木はこう反応した。
「あれ、こいつ世界ヘビーのこと、ダサいって言ってなかった? 気に入らねえ。オレの名前なんか、一言も言ってないからね。いつまでたっても上から目線だな。でもオレは今年、オカダに2連勝しているからね。オレも上から目線で言わしてもらうよ。おめでとう」
一方、オカダはさらに鷹木を刺激した。
「だってボクはずっとIWGPヘビーじゃないですか。チャンピオンが出ているトーナメントでも、優勝したのがボクですから。まあ、やりたければ別に、やりますよと。お願いされれば別に、ボクもやりますし。いつもだったら、東京ドームでG1チャンピオンがチャレンジという形でしたけど、IWGPヘビーじゃないんで、世界ヘビーなんで、だったら挑戦してきなさいと。どっちが上だと思ってんの、って。どっちがこの新日本プロレスを盛り上げてんの、って。満足させてるの、って。このG1クライマックス、どっちですか、って。鷹木選手なの? いやオレでしょう。どんだけオレがこのG1クライマックスを盛り上げてきたと思ってんの? チャンピオンは誰なの? オレでしょう、っていうことですね」
まあ、それぞれどっちが上と考えようが、自由だ。しかしいくら面白くて、勢いとニュアンス的には理解できても、このオカダの論法には無理があると筆者は思う。それはかつて自分が保持していたベルトの方が、統一王座である「世界ヘビー」よりも上という見方に近い。
オカダは6月7日に大阪城ホールで鷹木とIWGP世界ヘビー級王座決定戦をやって敗れている。3月のニュージャパンカップでも鷹木に負けている。
「政治と一緒」オカダの『IWGPヘビー党』宣言
鷹木との対戦は順調に行けば来年1月の東京ドームだから、まだ、時間がある。
その前にオカダはこのG1公式戦で負けているタマ・トンガと戦うことになる。これはトンガがオカダに直接言ってきたことだ。
「1回、やられていますから。借りを返さないといけないと思います。この世に完璧な人間はいないと思いますから。完璧に優勝できなくても、優勝することはできましたし。でも、借りを返して、その次にやる時は東京ドームだと思うので、そこに向けて。いや、オレじゃなきゃダメでしょ。タマ・トンガが東京ドームで『オレがG1チャンピオンを倒した男です』って言っても盛り上がんないでしょ」