大学駅伝の初戦を落とした。しかし、収穫はあった。

「篠原は、最後の500mはちょっと動かなくなったけど、あの暑さの中で我慢して走ってくれたので面白い存在になったと思います。ロードでしっかり距離を踏んでいけばもっと強くなりますね。安原も最初突っ込んでいい感じでしたが、そこで我慢できず、また離されたので、そこで我慢できればもっと強くなると思います」

　大八木監督は、初陣を飾った二人に伸び代を感じたようだが、主力選手の状態をどう上げていくのか、課題は多い。次の全日本大学駅伝はあっという間にやってくるのだ。　

「全日本はベストメンバーで挑めば、絶対に勝てます」

　田澤は、「次は巻き返す」と強気だ。

「全日本はベストメンバーで挑めば、絶対に勝てます。出雲は負けたけど、これから距離が増えていくし、自分たちは5000mや10000mは強い。全日本に切り替えてやっていこうと思います」

　大八木監督も次を見据えている。

「出雲で負けたことで見直すことはいろいろありますし、出雲のメンバーをそのまま全日本に起用することはないです。次は選手を入れ替えて、勝てるチームを作って臨みたいと思います」

　本番のレースでしか得られない収穫は、タイトルを獲るのと同様に重要なことでもある。そのせいか、大八木監督の表情に暗さはなかった。

　負けるが勝ち――指揮官の前を向いた視線は、そう語っているようだった。

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