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「私の選考ミスです」箱根駅伝王者・駒澤大が5位…出雲駅伝で“断トツの優勝候補”は何を間違えたのか?
posted2021/10/12 17:02
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph by
Nanae Suzuki
出雲駅伝前夜、駒澤大学は圧倒的な選手層を誇り、ダントツの優勝候補だった。
主力の鈴木芽吹(2年)が怪我でメンバー入りを果たせずとも強力な2年生を擁し、エース田澤廉(3年)は健在だ。大八木弘明監督は、「アンカーの田澤のところでヴィンセント(東京国際大学・3年)と1分差があれば面白い勝負になる」と述べ、出雲制覇に向けて勝利の方程式は完成していた。一方でヴィンセントに1分差をつけられる、“まさかの展開”だけは避けたいという指揮官の不安も透けて見えた。
果たして、出雲駅伝は、その「まさか」の目が出た。
王者は、なぜ出雲駅伝を逸したのだろうか。
1区・篠原は8位「本当に申し訳ないですし、悔しいです」
出足は悪くなかった。
1区は、9月の日本インカレ5000mで2位に入り、出雲のエントリー&出走を確実にしたルーキーの篠原倖太朗だ。「暑さとタフなコンディションに強い」ということで1区に抜擢された。監督からは「5秒差内の5番以内で繋いでくれたらありがたい」と言われ、スタートラインに立った。
レースは気温30度の暑さからスローペースになり、篠原は集団の真ん中に位置して体力を温存した。残り1kmになると青学大の近藤幸太郎(3年)、早大の菖蒲敦司(2年)、東京国際大の山谷昌也(3年)らが加速して、そのうしろに篠原がついていく。だが、500mを切って、スプリント勝負になるとズルズルと順位を下げていった。1区8位、トップの青学大との差は16秒だった。
「申し訳ない気持でいっぱいです。監督の期待に応えられなかったですし、最後、田澤さんに苦しい走りをさせてしまいました。本当に申し訳ないですし、悔しいです」
篠原は、涙を浮かべて、そう語った。
出雲は短距離の高速駅伝ゆえに1区で出遅れると、それが致命傷になる。ゆえに1区は、エース級の選手が配置されるが、篠原はまずまずの走りを見せた。トップと16秒差は、まだこれから挽回できる差だった。
2区で挽回も…“必勝プラン”が消えかかる
実際、当日変更で2区に入った安原太陽(2年)が盛り返した。箱根5区候補は悪コンディションの中で真価を発揮するタイプ、この暑さの中で強さを見せて6位に順位を上げた。トップの国学院大とのタイム差は14秒、東京国際大とは10秒差に縮まった。
つづくエース区間の3区が勝負になった。