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プロレスファンを熱くさせる「10.9」の伝説…朱里が、林下詩美が、そして飯伏幸太が継承した“足4の字固め”
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2021/10/12 11:00
足4の字固めでギブアップを奪った朱里。武藤敬司が高田延彦を仕留めたこの技は「10.9」の象徴だ
今は100人、200人規模の重複かもしれない。だが、このコロナの状況が好転して分母が上がれば、これが1000人、2000人の数字に変わる可能性がある。
最近、こうしたリンクが見られる。9月18日は、昼に地下の大阪府立体育会館第二でスターダムがやって403人、夕方から新日本がG1クライマックスの開幕戦を上の大阪府立体育会館でやった。1963人だった。
これは同日ではないが、新日本が9月23日と24日の2日連続で大田区総合体育館で開催した翌日の25日、スターダムの5★スターGP優勝戦が同会場であった。新日本の観客数が1284人と816人。スターダムは1539人(コロナ制限下での満員)だった。
スターダムのエグゼクティブプロデューサーのロッシー小川にこの数字について聞いてみると「ウチはビッグマッチ扱いですから、通常興行の新日本とは違いますよね」と冷静な答えが返ってきた。
「年末にかけて大きな会場での試合が続きますが、YouTubeの視聴者数もかなり伸びてきているのは事実です」(小川)
飯伏幸太もプロレスファンに戻った「10.9」
大阪府立体育会館。史上初のG1クライマックス3連覇を狙う飯伏幸太は、メインイベントでグレート-O-カーンと対戦した。O-カーンとの「再会」を楽しむようにロープを使わずに、バックの取り合いやグラウンドの攻防をして、キックを放ち、格闘技戦のような動きも見せた。観客も早い段階でそれに気づき、試合を静かに見ていた。足4の字固めも出た。最後は飯伏がカミゴェのヒザをぶち込んでO-カーンを仕留めた。飯伏は嬉しそうだった。
「面白かったでしょう」とファンに問いかけた。
「久しぶりにプロレスリングを堪能しました。久々に出逢いましたね。彼はすごいんじゃないですか、本当に。あのレスリング・テクニック。すごかったですよ、圧が」
飯伏はプロレスファンに戻っていた。
「今日は10月9日。1995年10月9日。第1試合から、ボクはプロレスを最高に楽しんで。その時の感覚に戻ったというか。また、やってみたいですね。G1じゃなくても」
飯伏の言う「第1試合」とは石沢常光、永田裕志vs金原弘光、桜庭和志のタッグマッチのことだ。
飯伏はこれでAブロック単独首位の6勝目。G1優勝戦に向けて順調に勝ち星を重ねている。
いろいろな意味で盛りだくさんだった「10.9」のスターダムと新日本プロレス。特別な日に足4の字固めを仕掛けたレスラーたちの思いが伝わってくる一日だった。
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