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《J通算220ゴール》「ストライカーは育てられますよ」佐藤寿人の成長を加速させた“好男さんのアドバイス”とは?

posted2021/10/11 11:01

 
《J通算220ゴール》「ストライカーは育てられますよ」佐藤寿人の成長を加速させた“好男さんのアドバイス”とは?<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

現在は、解説業だけでなく後進の指導にも積極的に関わっている佐藤寿人。J通算220ゴールを挙げた男の道のりには、次世代につながるヒントが多く残されている

text by

金子達仁

金子達仁Tatsuhito Kaneko

PROFILE

photograph by

Kiichi Matsumoto

昨シーズン限りで現役を退いた佐藤寿人。現在は、パソコン片手に全国を飛び回り、自身の経験を伝えている。日本サッカーの積年の課題である「得点力不足」克服に向け、稀代のストライカーが見据える未来とは?(全3回の#1/#2#3へ)。

 ゴールキーパーは、現代サッカーにおける“炭鉱のカナリア”である。

 スイス然り。ベルギー然り。何より、スペイン然り。それまでの殻を破って台頭した国の多くでは、まず優れたゴールキーパーの出現があった。

 これは断じて偶然ではない。

 ゴールキーパーとは、専門職である。基本的には反復練習によって作られていくポジションでもある。才能というよりは鍛練。強化していくためには、データ、理論に基づくトレーニングが必要となってくる。つまり、専属のコーチが必要となる。

 しかし一方で、ゴールキーパーはピッチ上の人口で10%にも満たない(11分の1)マイノリティでもある。そんなマイナーなポジションのためにコーチを置くチームが、マジョリティを放置しておくだろうか。若年層のチームで、コーチはいるけれどGKコーチはいない、というところはまだ珍しくないが、その逆、つまりGKコーチはいるけれど……というチームには、少なくともわたしはお目にかかったことはない。

 幸いにして、日本サッカー協会は早い段階からゴールキーパーを育成することの重要性には気付いていた。一時期、Jリーグの守護神が韓国人ばかりになりかけたことがあったが、ここにきて、ようやく蒔いてきた種が実りの時を迎えつつある。

 ゴールキーパーはサッカーにおける“炭鉱のカナリア”である、と信じてきた者としては喜ばしい限り……なのだが、無邪気に喜んでばかりもいられない。ゴールキーパーには負けないための貢献ができる。だが、サッカーという競技は勝つためにゴールを奪わなければならない。そして、日本サッカーにとっての宿痾とも言うべき、“決定力のあるストライカーの不在”は、釜本邦茂の代表引退以降、ほとんど半世紀に渡って解消されていない。

 協会も手をこまねいていたわけではない。ゴールキーパーを育成するプロジェクトと並行するように、ストライカー育成プロジェクトも進めてきた。だが、残念ながらその成果、あるいは萌芽が見られたとは言い難い。

 ストライカーは、育てられるのか。それとも、天からの配剤を待つしかないのか。

【次ページ】 「ストライカーは育てられますよ」

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