広島2位は待望の“右打ち大砲候補”

〔広島　2021年ひとりドラフト指名選手​〕

×　小園健太　18歳　投手　市立和歌山高　184cm89kg　右投右打（巨人、オリックスらとの抽選に敗れる）
1位　椋木蓮　21歳　投手　東北福祉大　178cm85kg　右投右打
2位　有薗直輝　18歳　三塁手　千葉学芸高　185cm90kg　右投右打
3位　市川祐　18歳　投手　関東一高　183cm85kg  右投右打
4位　羽田慎之介　17歳　投手　八王子高　190cm88kg  左投左打
5位　柴田大地　23歳　投手　日本通運　180cm85kg  右投右打
6位　花田侑樹　18歳　投手　広島新庄高　182cm76kg　右投左打

〔広島　総評〕

　今季、早い時期にBクラスが見えてしまった印象のある広島だが、明るい材料もいくつも見えている。

　栗林良吏、森浦大輔、大道温貴……ルーキー3投手の奮投がもしなかったら、今季のカープはいったいどうなっていたか。想像するだに恐ろしい。この3人、昨年のドラフト1位～3位指名だった。

　共に3年目・林晃汰、小園海斗の三遊間コンビ結成に、5年目・坂倉将吾のレギュラー定着……若い力の台頭も心強い。

　それでも、投手陣にもうワンプッシュほしいし、右打ちの長距離砲候補というテーマはすでに数年越しのものだろう。どちらも、大瀬良大地、鈴木誠也のFA残留が決まれば、心配も半分以下になるのだろうが。

　1位で、小園健太を外したのは痛かった。宿敵・智弁和歌山を向こうにまわした時の泰然としたマウンドさばき、全国屈指の強豪を見下ろして投げているような投げっぷりは、「黒田博樹」の再来を予感させた。その実力もさることながら、「存在感」として是が非でも欲しい選手だったのだが……。

　しかし、リリーフタイプの筆頭・椋木蓮（東北福祉大）を繰り上げ1位でとれたのだから、「後ろの3人」が判然としないチーム事情にはタイムリーだった。

　スタートからいきなり150キロ前後を続けられる爆発的が頼もしい。タテ軌道を取り戻したスライダーに、ツーシームだろうか、手元でスッと沈む系も使える。肩・ヒジの故障で投球不可の時間が長かったのを不安視する向きもあったが、むしろ、カムバック直後から150キロ前後の剛速球を繰り出せる心身の「エンジン」の大きさと、その潜在能力のほうを魅力に感じる。

　そして、2位に待望の右打ちの大砲候補だ。

　1位指名の野手は、慶應義塾大・正木智也選手だけだったから、野手で2人目の指名。高校生野手では、真っ先の指名になった。

　有薗直輝（千葉学芸高）は通算70本塁打という大きな「数字」で紹介されがちな選手だが、この超高校級スラッガーの場合、インパクトでの瞬発力のすごさと振りにいく勢いのすさまじさを評価すべき。そういう意味では「鈴木誠也二世」なのだろうが、守備・走塁に関しては、一歩及ばない。逆に、そこが伸びしろになる。

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