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順大・長門俊介監督が語る“19歳三浦龍司との東京五輪”「学生の枠に入らないレベルの選手になってしまった」
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byIchisei Hiramatsu
posted2021/10/09 11:00
順天堂大学・長門俊介監督に、三浦選手と二人三脚で挑んだ「東京五輪までの道のり」を聞いた
この結果を残せたのは、自国開催というのが大きかったなと思います。三浦をはじめ、田中希実選手や廣中璃梨佳選手ら海外での経験が少ない若手選手には、自分の走りをしやすい環境だったのかもしれません。一方で、期待された選手ほど自国開催のプレッシャーを感じやすく、精神的にも“魔物”が生まれやすい難しい大会だったと思います」
東京五輪という大きな山をひとつ越えて
東京五輪という大きな山をひとつ越えたが、長門と三浦が目指すゴールはすでに先に見えている。
「五輪が終わってしばらく経ちますけど、学生の枠に入らないレベルの選手になってしまったと感じますね。これから駅伝シーズンに入りますが、彼の起用には十分に注意しなければいけない。
指導者としても、これまでの学生レベル、日本レベルでの育成ではなくて、世界レベルで考えていく必要があります。改めて東京五輪のレースを見ていると、ハードリングを含めてまだまだやれることがたくさんあるなと気づかされます」
さらなる上を目指すためにすべきことは何か? 長門と三浦が一致していることは「海外レースでの経験値を増やすこと」だ。今はコロナ禍の影響でなかなか海外に出られないが、世界選手権やパリ五輪に向けて世界でレースの場数を踏むため、欧州のダイヤモンドリーグなどを転戦することを考えている。
3大会目は「三浦だけでなく服部壮馬とも一緒に」
塩尻、三浦と順大の学生がリオ五輪、東京五輪と2大会連続でオリンピアンになった。パリ五輪に学生を出場させることができれば3大会連続になり、そこに三浦も加われば順大は「3障王国」として特別なポジションを確立することになる。
「もちろん3大会連続を狙っています。三浦に関してはただ今回で皆さんの期待度も大きくなって、個人的にはパリ五輪に向けてさらに責任が重くなったなと感じていますが……(笑)。
今、1年生で3障を走る服部壮馬は『五輪に出たい、目指したい』と言ってくれているんです。東京五輪の閉会式で見たパリの会場がすごく魅力的だったんで、三浦だけでなく服部とも一緒に行きたいですね」
長門と三浦のパリ五輪に向けての戦いは、もう始まっている。
(駅伝編へ続く)