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『ランニング王国を生きる 文化人類学者がエチオピアで走りながら考えたこと』エチオピアランナーが投げかけるどこを、誰と走るかの重要性。
text by
山田洋Hiroshi Yamada
photograph bySports Graphic Number
posted2021/10/05 07:00
『ランニング王国を生きる 文化人類学者がエチオピアで走りながら考えたこと』マイケル・クローリー著 児島修訳 青土社 2420円
五輪連覇を果たしたアベベ('60年、'64年男子マラソン)やゲブレセラシェ('96年、'00年男子10000m)らを輩出してきたエチオピアは、なぜ長距離王国として君臨しているのか? 自身もフルマラソンを2時間20分で走る英国の文化人類学者が、その疑問を胸に1年3カ月もの間、同国に滞在し、フィールドワークを行っていく。
著者が拠点とした首都アディスアベバの標高は2400mほどだが、エチオピアランナーにとって神聖で特別な空気を持つトレーニング地・エントト山は3200mもある。他にも、荒れたダートのような悪路を意味するコロコンチで強さを磨き、同国が誇るクロスカントリーレース「ジャン・メダ」に参加。数々の土地を訪れ、一緒に走りながらその強さの秘密と走りの哲学を見出すことになる。