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「那須川天心ロス」を払拭するのは誰だ? 試合前にトイレで号泣…“超ビビりファイター”原口健飛23歳が「俺しかおらん」と覚醒した日

posted2021/10/05 17:01

 
「那須川天心ロス」を払拭するのは誰だ? 試合前にトイレで号泣…“超ビビりファイター”原口健飛23歳が「俺しかおらん」と覚醒した日<Number Web> photograph by Susumu Nagao

9月23日のRISEにてタイのタップロンに勝利した原口健飛。“次の那須川天心”候補である

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布施鋼治

布施鋼治Koji Fuse

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Susumu Nagao

 ポスト天心を探せ――。

 9月23日、横浜・ぴあアリーナMMで行なわれた鈴木真彦戦にてフルマークの判定勝ちを収めた“神童”那須川天心。キックボクサーとしてのキャリアは残り2試合となった。残る2試合は毎年恒例の12月31日のRIZINと来春開催予定のRISEのビッグマッチが予定されている。

 その後はプロボクサーに転身する。残された格闘技界は“天心ロス”が発生しそうだが、那須川がホームリングとしていたRISEはその穴を埋めるべく次世代のスター育成に腐心している。

 といっても、格闘技のスターは作れるものではない。仮に作ったところで、すぐメッキははがれ、真の実力が世間にさらされることになるからだ。強くてファンの共感を呼ぶ人材の育成はなかなか難しい。

 この日、もっともポスト天心を感じさせてくれたのはタップロン・ハーデスワークアウト(タイ)と闘った原口健飛だろう。

白鳥、直樹らタレントにも勝利を収めている

 原口は空手出身。伝統派もフルコン(直接打撃制)も、どちらもやっていたことが強みか。その後キックボクシングからプロボクシングへ転身。そしてまたキック界に舞い戻ってきた。年齢は那須川と同じ23歳ながら、すでに波瀾万丈な人生を歩んでいる。昨年1月、秀樹をKOで破り、第6代RISEライト級王者になると、リング上から子供がいることをカミングアウトした。

「チャンピオンになったら言わなあかんことがあって。僕、19歳の時に結婚して今2人の娘がいます。チャンピオンになったら言おうと決めていて。中途半端な戦績で子供がおるとは言いにくくて」

 17歳で長女が産まれたときには親から絶縁されたが、4年前関西地区でローカル王者になったことがきっかけで、ようやく認めてもらったという。その後、トレーナーを務める父・良二さんはセコンドに就くようになった。キックボクサーに復帰してからの敗北は一度のみ。現在は1引き分けを挟み怒濤の18連勝中だ。

 RISEのライト級戦線はRIZINのキックトーナメントを制した“王子さま”白鳥大珠、この横浜大会で白鳥を返り討ちにした直樹などタレント揃いだが、原口はいずれの選手からも勝利を収め、ライト級最強の称号をほしいままにしている。

 しかしながら、素顔は超ビビリ。試合が近くなると、「負けたらどうしよう」と不安にかられ、試合直前になるとトイレで人知れず泣く。そういうプロセスを経ることで心の整理をして原口はリングに上がる。強いのは闘っているときだけ。この極端すぎるギャップが原口の魅力か。

【次ページ】 「RISEを引っ張って行くのは俺しかおらん」

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