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巨人「中5日ローテーション」は失敗なのか? 原辰徳監督の信念「誰かが成功させれば、それがスタンダードに」
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byNanae Suzuki
posted2021/09/27 17:25
ローテーションに慣れてきたのか、9月22日に戸郷は3カ月ぶりの勝利をあげた(写真は6月撮影)
今季は桑田真澄投手チーフコーチ補佐を迎えて、掲げたのは「135球で完投を目指せる先発陣」だった。それも「強い投手」を一貫して求め続けてきた原監督の方針だった訳だ。
ただ開幕から3カ月が経過して6月になると、徐々に先発陣が序盤で崩れる展開が多くなり、いわゆるマシンガン継投に移っていく。結果的にはこの継投を軸としたゲーム戦略がその後も続き、ならば先発投手は球数を管理しながら、間隔を詰めて中5日で回す方がゲームを作っていく上では有効な手段になるという判断だった。
中5日と登板間隔を詰めたことで疲労が蓄積?
ただ、躓いた一つの原因は、中5日で回しだした当初に、先発陣に白星がつかなくなったことだった。9月22日の広島戦で戸郷が6月26日以来の9勝目を挙げるまでの9月の18試合で、先発白星は菅野の3勝だけ。特に2回り目となった9月7日から12日までの6連戦では、全試合で先発が3回までに失点して、3回までの失点数は17にまでなっている。
多く指摘されているのは、中5日と登板間隔を詰めたことで疲労が蓄積しているのではということだ。
ただ、しっかりと球数は管理されて、中4日と中5日で先発する投手は、ほぼ100球に満たない球数でマウンドを降りて次回登板に備えている。
「慣れてしまえば登板間隔はさほど問題ではないと思います」
こう語っていたのは2014年に楽天からニューヨーク・ヤンキースに移籍した直後の田中将大投手(現楽天)だった。
メジャーでは中5日のローテーションに順応
田中だけではなく以前には広島からメジャー移籍した黒田博樹投手、また今季でいえばサンディエゴ・パドレスのダルビッシュ有投手にミネソタ・ツインズの前田健太投手、シアトル・マリナーズの菊池雄星投手らも日本では中6日で投げてきた投手だったが、メジャーに移籍してからは中5日、中4日のローテーションに順応してマウンドに上がっている。そして黒田もダルビッシュも前田もそれなりの成績を残している。