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「強すぎ…」スターダムリーグ戦を制した朱里の“亡き母との約束”…悲願の「赤いベルト」に両国国技館で挑戦する意味とは 

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原悦生

原悦生Essei Hara

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posted2021/09/29 11:04

「強すぎ…」スターダムリーグ戦を制した朱里の“亡き母との約束”…悲願の「赤いベルト」に両国国技館で挑戦する意味とは<Number Web> photograph by Essei Hara

9月25日に開催されたスターダムの5★STAR GP優勝決定戦に勝利した朱里

「両国国技館で(赤いベルトに)挑戦したい」

 試合は全体的に渡辺のペースのように感じられた。蹴り合いや張り手の応酬には両者の気迫が伝わってきた。

 だが、渡辺が「何度蹴っても何度投げても」朱里は起き上がって来た。「朱里、強すぎ」「私の方が圧倒的に有利だったはずなのに」と渡辺は悔しがった。

「優勝したのはこの私、朱里だ。孤独なリーグ戦、私のプロレス人生の中で大きな結果を残すことができました。すごくうれしいです。この優勝は赤いベルトへの挑戦権獲得の証なので、10月9日、大阪城ホール、と言いたいところですが、12月29日、両国国技館で挑戦したいと思っています」

 大田区総合体育館のファンはどよめいた。朱里は開催がこの日発表になったばかりの両国国技館を晴れのステージに選んだのだ。スターダムはこれから大阪城ホール、川崎市とどろきアリーナ、国立代々木競技場第二体育館、そして両国国技館と大会場での攻勢をかける。

 両国国技館の大会名は「RYOGOKU DREAM QUEENDOM 2021」。それは新日本プロレスが年明けに開催する恒例の「WRESTLE KINGDOM 16」とリンクするような大会名が意図して使われている。

 リンクと言えば、10月9日はスターダムの大阪城ホール大会(13時開始)を見てから、新日本プロレスのG1 CLIMAX 31、大阪府立体育会館(エディオンアリーナ大阪)大会(17時開始)にハシゴができるように時間が設定されている。興味があれば、すでに新日本プロレスのチケットを持っている人でも、スターダムの観戦が可能な時間なわけだ。

 試合会場は日程順に発表されてきたが、実際には8年ぶりとなる両国国技館大会の開催の方が先に決まっていて、後から大阪城ホール大会が追加決定となった。両国国技館大会の存在を知った時、朱里は「未来からの現在」的なプランとして、両国国技館を「赤いベルト」戴冠の地として決めていたのだろう。だから、予定通り、両国国技館での挑戦を表明した。そして、そこから本当の意味で「朱世界」がスタートする。

【次ページ】 3度目の挑戦で悲願達成は…?

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