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「強すぎ…」スターダムリーグ戦を制した朱里の“亡き母との約束”…悲願の「赤いベルト」に両国国技館で挑戦する意味とは

posted2021/09/29 11:04

 
「強すぎ…」スターダムリーグ戦を制した朱里の“亡き母との約束”…悲願の「赤いベルト」に両国国技館で挑戦する意味とは<Number Web> photograph by Essei Hara

9月25日に開催されたスターダムの5★STAR GP優勝決定戦に勝利した朱里

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原悦生

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Essei Hara

 朱里は涙を笑顔に変えた。優勝の王冠と赤いヴィクトリー・ガウンは、朱里のために用意されたようにフィットしていた。

 この大会の始まる前、朱里は昨年9月に死去した母への思いを止まらない涙の中で語っていた。母にスターダムの象徴である「赤いベルト」(ワールド・オブ・スターダム王座)をささげるという決意、そして、そのために必要な「5★STAR GP」での優勝を約束していた。

 スターダムの「5★STAR GP」優勝決定戦は9月25日、大田区総合体育館で行われたが、朱里と渡辺桃の対戦になった。

消耗はあったが、自力で優勝戦進出を決めた朱里

 朱里は優勝戦進出をかけた彩羽匠との公式リーグ戦を20分の時間切れで戦いかなり消耗していた。

 一方の渡辺はジュリアとの対戦予定だったが、ジュリアの負傷欠場で公式戦は不戦勝扱いで、スタート時間前の第0試合で3WAYを羽南と史南を相手に戦ったが、ほとんど試合をしていないのと変わらなかった。

「優勝は渡辺桃」という声が多い中で、渡辺本人にも「ついに私の時代」という思いがあった。だが、渡辺はスターライト・キッドvs岩谷麻優の結果次第では、優勝戦に進めないという不安を抱えていた。キッドが岩谷に勝つか、引き分けると、渡辺の優勝戦進出はその瞬間に消えるという嫌な展開だった。今大会のキッドは異彩を放っていて、渡辺も9月20日の後楽園ホール大会でフォール負けしている。

 岩谷はすでに優勝戦進出の条件を満たしていなかったが、岩谷にとってキッドが「絶対に今、負けられない相手」だったことが、渡辺には幸いした。キッドだけには意地でも負けられない。岩谷は早い時間に勝負を仕掛けて、キッドを二段式ドラゴンスープレックスで押さえた。

 他力ではあったが、優勝戦進出が決まった渡辺はほっとして対戦相手が決まるのを待った。彩羽か朱里か、もし彩羽だと感慨の深いデビュー戦の相手だった。だが、彩羽と朱里が引き分けたことで、朱里が渡辺と優勝戦を戦うことになった。

【次ページ】 「両国国技館で(赤いベルトに)挑戦したい」

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