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大谷翔平のMVPレースを“大リーグベテラン記者2名”はどう予想したか「たとえゲレロが三冠王を獲得しても…」 カギとなる《4.4+3.7=8.1》って何?
text by
笹田幸嗣Koji Sasada
photograph byNanae Suzuki
posted2021/09/28 11:08
ア・リーグ本塁打王争いで3位の45本を放っている大谷翔平(9月23日現在)。投手としては9勝、残り試合で二桁勝利を目指す
「たとえゲレロが三冠王を獲得したとしても…」
<ジョン・ヘイマン氏>
「普通の年であれば、ゲレロになるだろう。もし、ゲレロが三冠王を獲得すれば尚更だ。しかし、今年はそうではない。たとえゲレロが三冠王を獲得したとしても、今年は大谷翔平に間違いない。これまでにあんなプレーは見たことがない。それが理由だ」
<ジョエル・シャーマン氏>
「大谷の打撃成績だけで考えれば、2位票や3位票が多くなるだろう。しかし、彼は特別だ。今までに誰もしていないことをしている。彼の得票は(1位の満票が)30票の中で29票になるのではないか。MVPは大谷だ」
大御所ふたりのお墨付きに、あらためて勇気をもらったファンも多いだろう。
投票権は全米野球記者協会所属の30人の記者に与えられ、ア・リーグ、ナ・リーグの本拠地がある各支部から1名ずつが選ばれる。大都市、小都市に関わらず公平性は保たれている。その中で昨今のMVPレースで記者陣が判断基準として大きく参考としているとされるのが、WINS ABOVE REPLACEMENT 、通称WARである。セイバーメトリクスにおける、選手の勝利への貢献度を示す指標であり、過去5年間のMVP受賞者と野手としてのWARは以下の通りだ。
勝利貢献度トップの選手がMVPを受賞してきた
16年 AL マイク・トラウト 10.6*
NL クリス・ブライアント 7.7*
17年 AL ホゼ・アルトゥーベ 8.3*
NL ジアンカルロ・スタントン 7.6*
18年 AL ムーキー・ベッツ 10.9*
NL クリスチャン・イエリチ 7.6*
19年 AL マイク・トラウト 8.3*
NL コーディ・ベリンジャー 9.0
20年 AL ホゼ・アブレイユ 2.8
NL フレディー・フリーマン 2.9
*印はシーズントップの数字であり、16年から18年のMVP受賞者全員がトップだったことがわかる。19年のベリンジャーと20年の両者はトップではなかったが、いずれも僅差での2位。WARの影響力が高いことに変わりはない。因みに20年の数値が極端に低いのはWARが加算制であるためだ。60試合であった昨年の数値は例年の1/3程度になっている。