欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
鈴木優磨の駆け込み移籍は破談になったが…クラブ・ブルージュの「優等生」ぶりが豹変したワケ〈金満PSGのCL初戦相手〉
posted2021/09/15 17:01
text by
杉山孝Takashi Sugiyama
photograph by
Getty Images
この夏、欧州蹴球名鑑をつくりながら、ずっと頭の隅に引っかかっていたことがある。クラブ・ブルージュと、鈴木優磨のことだ。
Numberの名鑑では、4大リーグ以外からチャンピオンズリーグ(CL)のグループステージに出場するクラブを「アザークラブ」として紹介している。昨季にベルギーの国内リーグで連覇を果たしたクラブ・ブルージュは、常連と言ってもいい存在だ。
ブルージュはさらに、「優等生」と呼びたくなる存在だ。補強は筋道が通っていて、突然メンバー表を作り直させられるようなことはない。名鑑を作成する側にとっては、非常に助けられるクラブなのだ。
今回のCLには、「アザークラブ」として11カ国から15チームが乗り込んでくる。クラブそれぞれの性格はもちろんだが、「お国柄」も感じられる。
補強が乱暴に見えるラテン系に比べると……
毎年、結構困らされるのが、ラテン系だ。今季の出場はなかったが、ギリシャのクラブはやや補強が乱暴な印象がある。やたら選手を多く抱え、気付くと誰かがいなくなっている。クラブからの発表は、遅れることが少なくない。
逆に助けられるのが北欧系だ。例えば、スウェーデンから久々に出場するマルメ。春秋制の国内リーグ真っ最中であることもあるが、補強は決して多くない。また、人材を確保するにしても、適材適所な補強を慎ましやかに行う、といった印象だ。昨季にデンマークから出場したミッティランもそうだったが、北欧系の国ではイメージそのままに、理路整然とスマートに、クラブ運営されているように感じられる。
そうした国々と遠くはないからか、あるいはリーグの規模が似ているからか、オランダやベルギーのクラブも似たような印象がある。今回オランダから登場するアヤックスは、人材を売るクラブだ。優れた育成機関が、その土台となっている。ベルギーもステップアップの場となっており、王者クラブ・ブルージュも、その例に漏れない。無謀な投資はせず、方程式に従って選手を育て、羽ばたかせていく。
優等生が豹変した駆け込み補強
その優等生が豹変した。移籍市場終盤、ブルージュはこれまでにない駆け込み的な補強を施したのだ。