濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
芸能界からプロレスへ 「圧倒的にみんなを幸せに」“傾奇者”ウナギ・サヤカが目指すのは「スターダムのアイコン」《特別グラビア+インタビュー》
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byTakuya Sugiyama
posted2021/09/11 06:00
フューチャー・オブ・スターダムとアーティスト・オブ・スターダムの2冠を達成したウナギ・サヤカ
観客からの“失笑”…ボロクソ言われて強くなった
だから誰に何を言われても気にしないし、心は折れない。自分でそういう「決まり」を作った。何もできず試合に負けて「やめてしまえ」、「なんでスターダムに来たんだ」とSNSで罵声を浴びせられたこともある。アーティスト王座を奪取した時に3カウントを取ったのはウナギだったが、客席からの反応は“失笑”に聞こえたという。
「は? お前がチャンピオン? みたいな感じで。あれは一生忘れないですね。その時に“ああ、これなんだ”と思いました。人の心が折れるのはこういう時なんだって。夢を持っても諦めてしまう人がいるのは、周りから雑音が入るからなんですよ。でも結局、やるのは自分。ここで折れたら負けだと思いました。自分で決めてスターダムのリングに上がったんですから。
結果として、スターダムのファンが遠慮なくボロクソに言ってくれて強くなれましたね。私にとって批判は“餌”でしかなかった。私になんだかんだ言ってくるってことは、意識してるんですよ。気に入らないなら気に入らないで、その人のトラウマになってやろうと。脳を蝕んでやります(笑)」
“傾奇者”が天下を取る未来
叩かれながらも、ユニットごとの写真集を出すとコズエンが売り上げ1位。「やっぱりね、おっぱいは世界を救うんです」とウナギは笑う。批判され、物議を醸した分だけ注目されるし、スターダムが盛り上がる。写真集も売れる。悪いことは何もない。
リーグ戦では優勝を狙っているし、もっとたくさんのベルトがほしい。だが最大の目標は、さらにその先にあるという。それは何か。
「スターダムのアイコンです。スターダムといえばウナギ・サヤカ。自分だけのやり方で、そういう存在になりたい」
この発言も物議を醸すだろう。“スターダムのアイコン”は団体を長く支えてきた1期生、岩谷麻優の代名詞なのだ。お前なんかに岩谷のポジションが奪えるものか。そう言われるのも承知の上だ。
「手応えは……まだないんですけどね。でも諦めなければ、心が折れなければ可能性は常にある。フューチャーのベルトには“A YOUNG GIRL'S SHINING DREAM”という言葉が入ってるんです。ヤングガール(笑)。30代でキャリア3年未満のチャンピオンが出てくるなんて想定してなかったんでしょうね。これからも想定外のことをやり続けますよ」
“傾奇者”が周囲の反応を気にしながら、身の丈に合った目標を語っても仕方ない。スターダムに来た以上、そこで天下を取る。そういう野望のある選手でなければ、そもそもスターダムで闘おうと思わなかったはずなのだ。今のウナギ・サヤカはまぎれもない“スターダムのプロレスラー”になっている。
(撮影=杉山拓也)
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。