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芸能界からプロレスへ 「圧倒的にみんなを幸せに」“傾奇者”ウナギ・サヤカが目指すのは「スターダムのアイコン」《特別グラビア+インタビュー》
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byTakuya Sugiyama
posted2021/09/11 06:00
フューチャー・オブ・スターダムとアーティスト・オブ・スターダムの2冠を達成したウナギ・サヤカ
コスチュームの派手さも他の選手に負けていない。『花の慶次』に憧れて“傾奇者”を自称する。
「カッコ悪くてダサくても、人の印象に残りたいんです。プラスであれマイナスであれ感情を動かしたい。それが結果、カッコいいと思うので。“普通”とか“まあまあ”って言われるのが一番嫌です」
“コズエン”は華やかさとは程遠いと思っている
8月から9月頭にかけて、ウナギはリーグ戦と並行してフューチャー王座の防衛戦を3度も行なった。タイトルマッチの試合間隔としては、それこそ普通ではない。そのうち2試合、桜井まい戦と月山和香戦は、自分から挑戦者を指名した。
8月13日の後楽園ホール大会では、アクトレスガールズをやめて参戦してきた桜井のスターダム初試合で挑戦を受けた。8.29汐留大会では中学生レスラー・吏南を退ける。9月6日の後楽園で対戦した月山もアクトレスガールズから戦場を移し、この日が初参戦だった。
「初めてスターダムに上がる選手の相手を務めるというのは、本来なら生え抜きの仕事でしょうね」
それでも自分が闘いたいと思ったのは、リング上で参戦の挨拶をする桜井が「ガチガチに緊張していた」からだ。気持ちは分かるから、自分が試合で本音を引き出したいと思った。月山との試合は相手のデビュー1周年記念日。そんな日にスターダム第1戦を行ない、しかもそれがタイトルマッチになった。ベルトを守ると、ウナギは言った。
「今日という日が月山にとって忘れられない日になって、どんどん上を目指してほしい」
桜井は試合後、コズエン入り。しかしウナギはそれに納得していない。桜井も芸能界からプロレスの世界に。デビューが遅く30代というのもたむ、白川、ウナギと同じだ。コズエン入りは自然に思えるのだが。
「確かに道のりは似てるんですよ。だからこそ、同じユニットにいたら私たちを超えられないじゃないですか。私たちが作ってきたコズエンに途中から入って、私たちをなぞればいいと思ってるのかなって、そこが納得いかないですね」
桜井がコズエンの魅力を「華やかさ」だと言ったのも気に入らなかった。3人とも華やかさとはほど遠いとウナギは考えている。芸能界からプロレスへ。「地獄を見てきた」とたむ。白川は「泥水すすってきた」と言う。ウナギは「アーティストのチャンピオンになっても毎回ギリギリの防衛でしたからね」と振り返る。
ウナギが新人の挑戦を受ける理由
「査定係のウナギです」という言葉とともに月山を挑戦者に指名すると、生え抜き選手やファンから批判された。初参戦の相手との“査定試合”にベルトをかけるのか、ベルトの価値を軽くするなというわけだ。だがウナギには途中加入だからこその、生え抜きとは違う考え方があった。