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[マリナーズ投手陣が明かす]スーパーマン大谷の抑え方
posted2021/09/10 07:00
text by
小西慶三Keizo Konishi
photograph by
Koya Okada(illustration)
打者・大谷翔平を抑える手段はあるのだろうか。結論から書くと、現状では見当たらない。本来なら大谷を強力にバックアップしていたはずの主砲マイク・トラウト、ベテラン強打者アンソニー・レンドンがシーズンの大半を欠場しているにもかかわらず、両リーグ最多の本塁打42、同2位のOPS.986(今季の成績は8月31日時点)が今季の打者・大谷を止める難しさを示している。
オールスター以降はOPS.821と一時の爆発力が消えているが、去年の60試合制から2.5倍以上長くなった今季公式戦では、ライバルたちにも故障や疲れが原因と思われる成績低下が目立つ。たとえばリーグMVPレースで有力対抗馬のブラディミール・ゲレーロ・ジュニア(ブルージェイズ)も後半はOPS.794と前半から.300前後も落とした。7月から投手としての成績が大きく向上していることを含めると、大谷の相対的なマイナス面は少ない。もしトラウト、レンドンが健在だったなら、大谷の投打での負担はもっと少なくなっていたはずだ。そのとき彼は、いったいどんな数字を叩き出していたのか。
一方で、その被害を小さくする方法はあるかもしれない。各球団バッテリーが頭を悩ますなか、一定の成功を収めているのがマリナーズだ。2001年からプレーオフ進出がなく、米3大プロスポーツ界でポストシーズンを最も連続して逃し続けている不名誉球団。しかも大谷がメジャー入りした2018年を除けば再建まっ只中にあるチームがなぜ、と感じる人は多いだろう。だがここまで4シーズンで、こと「大谷封じ」に関しては上々の結果を残している。