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高校球児の“意外な大ブーム” 専門店も「ここまで流行るとは…」1万円超のベルトがバカ売れ&バットは金色が「在庫ない」
text by
中村計Kei Nakamura
photograph byHideki Sugiyama
posted2021/09/03 17:01
優勝した智弁和歌山の選手たちも愛用していた1万円超するベルトとは?
星 ぜんぜん違いましたね。大まかに言うと「ザ・高校野球」というスタイルの智弁学園と、メジャースタイルの智弁和歌山でしたね。まず、キャップの形がはっきりと違いました。智弁学園は角ばったキャップなのに対し、智弁和歌山は丸っこいキャップでした。智弁学園のカクカクしたキャップは、大阪桐蔭に代表されるように、日本のアマチュア野球の伝統的なスタイルといってもいい。横浜高校は前監督の時代、丸い帽子にしたのですが、この夏見たら、また伝統的なカクカクしたキャップに戻っていましたね。往年の横浜ファンからすると、やっぱり横浜はこの帽子だよな、というのはあると思います。
――松坂(大輔)投手の時代の映像を思い返すと、確かに、角ばったキャップをかぶっていましたもんね。
星 あと、これも今の高校野球界のトレンドになっているのですが、上下ともにピチピチのユニフォームを着ていますよね。智弁学園がそうでした。おそらく普段、Lサイズを着ているような選手が、上下ともにSを着ているみたいなケースもあるんじゃないかな。大阪桐蔭時代の藤原(恭大)選手なんて、二の腕が半分以上、見えている感じでしたもんね。今は昔と違って素材の伸縮性が高い。下なんて、スパッツみたいなもんです。なので、ピチピチでも動きの妨げになることはないんです。むしろ、鍛え上げた体の迫力を見せるには、体にフィットしていた方がいいですからね。うちの店にやってくる子たちも「大阪桐蔭っぽいユニフォームがいいんですけど」って言うから、小さいサイズを着ればいいんだよ、と教えてあげます。ところが、そこも智弁和歌山は対照的でした。下こそピチピチでしたが、上はダボッと着こなしていましたね。中には、袖が肘の関節にかぶさっているくらいの選手もいました。甲子園に出場するチームのユニフォームは原則、別注なので、採寸するときに個々の好みを伝えているのだと思います。あのあたりもメジャー流ですよね。勝って、校歌を歌っているときに、はっきりと見えましたが、智弁和歌山の選手は全員、きれいにベルトの上にユニフォームがかぶさっていました。
――ベルトを見せない着こなしですね。プロ野球選手とか、よくやりますよね。お腹のあたりの生地をちょっと引っ張り出して、それをベルトの上にかぶせる。
星 智弁和歌山の中谷(仁)監督はプロ野球出身なので、やはり、そっちの方がカッコよく見えるというのもあるんでしょうね。最近は、引っ張り出しても裾が飛び出さないよう、上のユニフォームの裾をプラス5センチとか、プラス10センチにすることもできるんです。近年、高校野球のユニフォームはピチピチ化が進むところまで進んだ。でも、ユルユル派の智弁和歌山が勝ったことで、今後、こっちが主流になっていくかもしれませんね。いつの時代もトレンドをつくるのは、強いチームですから。