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50歳で金メダルは史上最年長! パラ自転車・杉浦佳子“遅咲きエース”の前向きすぎる生き方に香取慎吾もびっくり!?
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph byTakuya Sugiyama/Asami Enomoto
posted2021/08/31 11:10
リモート取材となったが、競技の魅力は香取慎吾に伝えた杉浦佳子
杉浦 質問もいいですか? 芸能人ってたくさんいらっしゃいますよね。特に香取さんは周囲に名だたる先輩がいて、後輩も下からどんどん出てきて、グループ内でも競争意識があったと思うんです。その厳しい世界でどうやって自分を見失わずにいられたんだろうって。私なら、この人に勝てないから無理だって諦めちゃうかもしれない。
香取 難しい質問だけど、でも、自分たちに与えられた仕事や時間を100%でクリアしていくのに必死で、下からとかライバルとかって考える暇がなかったのかもしれない。グループのときも、新しい道を歩き出した3年半前も、そして今もそうだから、気づいたらずっと必死なんですよね。常に追われるように今日を乗り越えて、気づいたら次の日の大変さがやってくるから、他の人のことまで考えられない。お客さんに対しても必死だからこそ伝わるものがあるし、力の入れ方がわからなくて伝わらないこともあった。
だから、いっときも気を抜いていられない。杉浦さんの話にも繋がるんですけど、生きなきゃいけないんですよ。辛くて苦しくてしんどいときもあるけど、生きなきゃいけない。這いつくばってでもしがみついてでも。そんな思いが爆発してるのがあの壁画なのかもしれないなぁ。
杉浦 あぁ、なるほど。
香取 あと、周りの人に恵まれてるのは大きいな。人との出会いとか縁に支えられて、それがあるから生きられているのかな。
杉浦 さっき寿退社したいって言ったんですけど、私としてはパラリンピックのゴールテープを切ったあとに、ありがとうございましたってお世話になった方々に頭を下げて感謝を伝え、有終の美を飾りたい。東京大会の開催に賛否ある状況なのはわかります。でも開催されるのであれば精一杯やらせていただくし、もし開催されないのであれば、次のパリまで頑張って、頭を下げたいって今は思っています。
香取 東京大会は僕らにとっても大切だし、これをきっかけに日本社会の意識が変わると思って応援をしてきました。選手のことを考えると開催して欲しいけど、杉浦さんから「次」という言葉を聞けてゴールはひとつじゃないかもしれないなって。
杉浦 嬉しいです。でも、今は夏の東京を目指し、全力で練習していきますね。
◆本連載は日本財団パラリンピックサポートセンターとの共同企画です。
【過去の記事一覧】はこちらから→『語ろう! 2020年へ』(全14回)
<協力>
hair & make-up by Tatsuya Ishizaki
text by Sports Graphic Number
styling by Akino Kurosawa
杉浦佳子Keiko Sugiura
1970年12月26日、静岡県生まれ。16年に自転車レースで転倒し、高次脳機能障害と右半身麻痺が残る。17年にパラサイクリングに転向すると18年のW杯で完全制覇を達成し、日本人初のUCI年間表彰を受賞。4月に代表内定。
香取慎吾Shingo Katori
1977年、神奈川県生まれ。最新曲「Anonymous(feat.WONK)」のCD+DVDが5月19日より3万9000枚限定でリリース。7月には、18年末に発表され好評を博した三谷幸喜作・演出のミュージカル『日本の歴史』の再演が控える。