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50歳で金メダルは史上最年長! パラ自転車・杉浦佳子“遅咲きエース”の前向きすぎる生き方に香取慎吾もびっくり!?
posted2021/08/31 11:10
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph by
Takuya Sugiyama/Asami Enomoto
香取慎吾(以下、香取) 今回はこの連載の最終回なんですが、初のリモート取材です。杉浦さんはベルギーでのW杯から帰国されたばかりだとか。
杉浦佳子(以下、杉浦) はい、このコロナ禍の中でも、海外でレースに参加できたのは本当にありがたいことでした。大会中も、帰国後もPCR検査ばかりで鼻が痛いですけど(苦笑)。
香取 最近は自転車が趣味という人も多いですよね。数年前にドラマ『家族ノカタチ』で演じた主人公も、自転車が趣味だったんです。ロードバイクに乗ったり、ビールを飲みながら部屋に飾ってある自転車を眺めるのが至福のときという役でした。杉浦さんはどんな種目に出場されるんですか?
杉浦 パラサイクリングは室内の「トラック」と屋外の「ロード」に分かれ、さらにその中にいくつか種目があります。東京パラでの出場種目は、内定をいただいた私もまだ決まっていないのですが、トラックのタイムトライアル(TT)と個人パーシュート、ロードのTTとレース、計4種目に参加する心づもりで練習を重ねています。
香取 こういう自転車ってお高いですよね?
杉浦 例えば、本体(フレーム)だけでレース用だと30万円以上して、数百万するものもありますね。ただ、単に高ければいいというわけではなく、選手のこだわりや特性、体格に合わせてミリ単位で調整することでタイムを縮められるんです。
香取 “機材スポーツ”ですね。自転車を運ぶ時にぶつけたりしちゃったら大変。
杉浦 なので、運ぶときは専用のボックスに入れて、パーツもひとつずつ包んで、傷つけないように運んでもらっています。
きっかけは近所の自転車ショップ?
香取 自転車乗りにはいわゆる“メカ好き”も多いと思いますが、杉浦さんも自分でいじったりするのは好きなんですか。僕の友達、ご存じかと思いますが、オートレースをやっている森且行は乗り物をいじること自体も好きみたいです。
杉浦 全く違います。前にホイールを新しいものに付け替えてもらったとき、ギアも重くなっていたのですが、何も気づかなくて。坂を頑張って上っていたら、コーチに「何か気づかない?」と言われて、「何も」と。それぐらいメカのことは分かりません。普通はメンテナンスも自分でするんですけど、私は自分でやって壊しかけたことがあって、もう触るなって言われてます(笑)。
香取 そもそも、自転車を始めたきっかけは何なんですか?
杉浦 昔から年代ごとにスポーツを一つ頑張ろうと思っていて、20代のときにフルマラソンを完走したんです。30代はトライアスロンかなと思っていたら、ちょうど近所に競技用の自転車のショップができて(笑)。
香取 すごい偶然!
杉浦 その自転車ショップで知り合った人がたまたまトライアスロンの指導の資格を持っていらっしゃって、その方に練習メニューを組んでもらったらどんどん自転車のタイムが上がっていった。それでレースに出てみたら、事故にあってしまったんです。