――新たに「サンフレッチェ広島レジーナ」というチームが発足し、近賀選手は初代キャプテンに就任しました。成熟度はこれから上がっていくと思いますが、今のチーム状態はいかがでしょうか。

　レジーナらしいといいますか、こういうサッカーをしようという矢印は、この半年ぐらいでできてきたと思います。今はそこの質を高めて、リーグ戦で勝つための武器を磨いていく段階。もっと戦えるチームになる必要があると思います。

――レジーナはどんなサッカー、どんな戦術、どんなシステムで戦っていくのでしょう。もちろん言える範囲で。

　やはりボールはしっかり保持したいなとは思っています。ただ、スピードある選手がけっこう揃っているので、保持するところと速く攻めるところと織り交ぜながら、という戦い方が理想ですね。自分たちの強みをしっかり生かしながら戦っていきたいです。

――チーム創立の記者会見では「0から1にする」ビジョンに魅力を感じてレジーナに来たというお話もされていましたね。

　たとえば（日テレ・東京ヴェルディ）ベレーザだったらこう、レッズ（三菱重工浦和レッズレディース）だったらこう、という“らしいサッカー”がある程度イメージできる中で、私たち（レジーナ）はまだそれがない状態。今もまだ「1」になれているかわからないですけど、そこに向かう取り組みには楽しさを感じていますね。もちろん、リーグが進むにつれて「甘い世界じゃないぞ」と感じる場面は出てくるでしょうし、苦しい試合を自分たちでもぎ取れるような勝負強いチームになる必要はあるんですけど。でも今は、その「1」になろうとするワクワクの方が強いですね。

――それはこれまでの経験の中にはなかった楽しさ？

　ないですね。個人が成長することでチームがさらに成長するということを強く感じられますし、もちろん自分自身も成長することでチームに貢献したい。本当に全員にチャンスがあると思っています。

必要なのは「違いを生む」選手

――新リーグということで、未知数なシーズンになると思います。頂点に向かっていくために必要となる要素はなんでしょう。

　やはりチームの核となるエース的な存在、でしょうか。それが今のレジーナでは誰？となった時に、まだ自分たちもわからない。他の新しいチームのエースもわからない。互いにわからない同士で戦うので、もしかしたら突然、頭角を現す選手が出てくるかもしれない。レジーナにとっても「この選手は何かやりそうだな」という雰囲気を持った選手が現れたら、勝負強さが生まれてくるのかもしれませんね。

――チームを勢いづけてくれるような要素を持った選手が必要だと？

　言ってしまえば、どのチームからもマークされる、抜きん出た選手が今のレジーナには必要。レッズだったらFW菅澤（優衣香）がそういう存在だと思いますし、INAC（神戸レオネッサ）の田中美南もそう。攻撃だけでなく、ディフェンスでも南萌華（浦和）といった後ろでどっしり構えられるような、任せられるような選手がいることもチームにとっては大きい。

――近賀選手から見てレジーナでそういう期待をしている、または注目してほしい選手はいますか？

　個人的にはMF増矢理花はINAC時代に一緒にやっていたこともあって、期待していますね。すでに女子サッカー界の中では知られている存在ですし、代表の経験もある。持っている技術の高さは間違いなくトップレベルにあると思います。

サンフレッチェ広島レジーナMF増矢理花　©︎2021 S.FC

　ただもっとチームを引っ張っていく存在になれたら、理花の違う一面が出せると思うし、それはレジーナにとっても大きい。いいキャラをしていて性格も良いからか、もっと自分で勝負を決めるという強引さがあってもいい。もう一皮、二皮、三皮ぐらいむけてほしいです（笑）。

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